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ブラジルと欧州委、EUメルコスールFTA協定条文案を公開

(ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、メルコスール、EU)

米州課

2021年07月21日

ブラジル外務省は7月19日、EUメルコスール自由貿易協定(FTA)の協定条文案を公開外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。欧州委員会も15日に公開外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これまで協定の概要は明らかになっていたが(2019年8月30日付地域・分析レポート参照)、条文案の全文が公開されるのは初めて。条文案は今後、法的精査を経て修正される可能性がある。本FTAは2019年6月に政治合意に至ったが、現時点で署名は行われていない。

条文案は以下のほか、複数の付属書などで構成されている。

  • 物品貿易
  • 原産地規則
  • 税関手続きおよび貿易円滑化
  • 貿易の技術的障害(TBT)
  • 衛生植物検疫措置(SPS)
  • 対話
  • 貿易救済措置およびグローバルセーフガード
  • 2国間セーフガード
  • 貿易におけるサービスおよび設立
  • 政府調達
  • 知的財産
  • 国際収支および資本移動
  • 競争政策
  • 補助金
  • 国有企業
  • 貿易および持続可能な開発
  • 透明性
  • 中小企業
  • 紛争解決

物品貿易章では関税削減スケジュールPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が公開された。メルコスール側の譲許表をPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)確認すると、4カ国(アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ)で関税引き下げを始めるベースレートが異なる。例えば、メルコスール諸国の対日輸入額が大きい「排気量が1000ccを超え1500cc以下(6人まで)の乗用車(HSコード:8703.22.10)」は、アルゼンチンとブラジルが35%、パラグアイが10%、ウルグアイが23%。これをいずれも15年かけて無関税化する。「その他のギアボックス(HSコード:8708.40.80)」は、アルゼンチンとブラジル、パラグアイでは18%、ウルグアイのみ10%。15年かけて関税を撤廃する。メルコスール側の譲許表を確認すると、乗用車の多くは、協定発効後最大15年間で関税を撤廃する。

メルコスール側の関税削減に当たっては、関税が均等に引き下げられるものとそうでないものがある。例えば、譲許表で主に乗用車(HSコード:8703)の欄に記載されている「15V」は、15年間で関税撤廃するが、協定発効から7年目(発効6年後)まではベースレートを維持し、8年目(7年後)から毎年均等に関税を引き下げ、16年目(15年後)に撤廃するというものだ(詳細は関税削減スケジュールPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)参照)。ただし、年間5万台については特別枠として、協定発効と同時にベースレートの半分の税率を適用する(注1)。例えばブラジルの場合、先述のHSコード8703.22.10に分類される乗用車のブラジルのベースレートは35%のため、17.5%の税率が枠内の乗用車には適用される。5万台の内訳は、アルゼンチンが1万5,500台、ブラジルが3万2,000台、ウルグアイが1,750台、パラグアイが750台。

品目別原産地規則(PSR)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)も公開された。PSRを達成する方法として、EUメルコスールFTAではその他多くのFTAと同じく、関税分類変更基準(CTC)、付加価値基準、加工工程基準を採用しているが、付加価値基準の計算方法については、製品に占める非原産材料の割合を閾値(いきち)とする「非原産材料の最大割合(Max NOM)」(注1)という方式のみを採用している。乗用車(HSコード:8703)についてはMax NOMが45%で、かつ関税分類変更基準(CTC)は使用できない。なお、日EU経済連携協定(EPA)では、付加価値基準の計算方法として(1)控除方式の域内原産割合(RVC、注2)、(2)非原産材料の最大割合(Max NOM)の2つを採用しており、事業者はより有利な方を選択できる。

その他、税関手続きおよび貿易円滑化章では、税関手続きの透明性確保などを目的に、関税分類および原産地にかかる事前教示を規定している。特にブラジルでは、俗人的な通関トラブルが非関税障壁になっており、本協定の発効により税関手続きなどの簡素化が期待される。

(注1)枠内台数に適用するベースレートの半分の税率は、協定発効から9年目(発効8年後)まで適用。発効10年目(発効9年後)からは、枠外に適用する税率と一致するため、以降は枠内外関係なく同じ税率を適用。

(注2)計算式は、閾値=非原産材料の価額/製品の工場出し価額(EXW)

(注3)計算式は、閾値=(製品のFOB価額-非原産材料の価額)/製品のFOB価額

(辻本希世)

(ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、メルコスール、EU)

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