6月の米CPI、前年同月比5.4%上昇、引き続き伸びが加速

(米国)

ニューヨーク発

2021年07月14日

米国労働省は7月13日、2021年6月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比5.4%上昇したことを発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は4.5%上昇となり、民間予想(ダウ・ジョーンズ)のそれぞれ5.0%、3.8%を上回った。いずれも前月(それぞれ5.0%、3.8%)を上回っており、消費者物価指数は2008年8月以降、コア指数は1991年9月以降で最も高い伸びとなっている(添付資料図参照)。前月比でみても、消費者物価指数、コア指数ともに0.9%上昇と、いずれも前月の上昇率(それぞれ0.6%、0.7%)を上回り、足元のインフレ基調がさらに鮮明になった。

品目別に前年同月比でみると、前月とほぼ同じ項目の伸びが引き続き高いが、エネルギー価格は幾分落ち着き、24.5%上昇(前月:28.5%上昇)、うちガソリン価格も45.1%上昇(56.2%上昇)となった。財は8.7%上昇(6.5%上昇)し、特に中古車が45.2%上昇(29.7%上昇)とその上昇幅がさらに拡大している。サービスは3.1%上昇(2.9%上昇)しており、特に住居費が2.6%(2.2%)、航空運賃が24.6%(24.1%)などと前月から上昇幅が拡大している(詳細は添付表参照)。

消費者物価指数は4月以降、前年比4.0%以上の高い伸びを見せており、前月比でみても3月以降0.6%以上の上昇が続いている。連邦準備制度理事会(FRB)が7月9日に公表した金融政策報告書では、新型コロナウイルス感染拡大からの回復過程での最近の急激な物価上昇の要因を「需要が急増したにもかかわらず、生産上の制約や雇用の困難といった(供給面の)問題に直面したため」と分析し、「異常事態が過ぎれば、需要と供給のバランスがとれ、インフレ率は低下する」と予想している。一方で、こうした供給の問題については「生産上の制約はグローバルなサプライチェーンや業界固有の要因を反映しているため、いつ解消するかについては不確実」としており、具体的にいつごろ物価が落ち着いてくるかについては言及していない。また、「短期的には(2%の)インフレ見通しに対する上振れリスクが高まっている」ことを認めており、長期休暇シーズンに入りさらなる需要増加が見込まれる中で、物価がさらに上昇していくかが注目される。

(宮野慶太)

(米国)

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