日系企業の経営状況は回復傾向、感染拡大長期化には今後も警戒

(インドネシア)

ジャカルタ発

2021年07月02日

ジェトロは2021年6月7~18日、ジャカルタ・ジャパン・クラブ(JJC)などの協力を得て、インドネシアに拠点を置く日系企業を対象に、新型コロナウイルスなどの影響についてアンケート調査を実施した(添付資料参照)。

5月の生産状況が2019年同月比でどう変化したか(生産量ベース)の設問に対しては、「2019年同月どおりの生産」が21.7%、「2019年同月以上に生産」が26.1%を占めた。2020年6月の第1回調査、同年12月の第2回調査と比較しても、割合が増加している。非製造の稼働状況についても、「2019年同月どおりの稼働」が32.0%、「2019年同月以上に稼働」が9.2%に上り、製造業の生産状況と同様、回復傾向にある。

2019年同月比の売り上げについては、全体の約6割の企業が「減少」と回答しているものの、「増加」と回答した企業も22.4%に上った。特に製造業では、28.3%の企業が「増加」と回答しており、非製造業(17.1%)よりも回復が進んでいる。

2020年同月比の売り上げでは、全体の62.9%の企業が「増加」と回答している。製造業では79.7%の企業が「増加」と回答するなど、より回復が顕著だ。

今後の投資方向性では、「拡張:新規ビジネス開発など」が20.3%、「拡張:第三国からインドネシアへの移転」が0.7%、「現状維持」が72.2%との結果になった。「拡張:新規ビジネス開発など」は前回調査時から7ポイント増加し、企業の投資意欲も徐々に上向きつつあることがうかがえる。

新型コロナの感染拡大、それに伴う行動制限・社会制限の再強化が今後の懸念か

一方、今後、事業計画の変更を迫られる要因になりうる要素については、新型コロナウイルス感染拡大の影響・長期化に関する事項を回答する企業が多かった。回答企業291社中、約75%が「変異型ウイルス感染の拡大」と回答。「行動制限・社会制限の再強化」や「内需回復の遅れ」が続いた。6月初旬からの急速な感染状況悪化に伴い、インドネシア政府は各地の感染リスクに応じて、在宅比率の引き上げや商業施設・飲食店の営業時間短縮など制限を強化し始めている(2021年6月21日記事参照)。今後、制限強化が長引けば、回復しつつあった企業運営・経営状況に水を差す事態も想定される。

(尾崎航)

(インドネシア)

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