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税関を国税庁から独立した機関とする政令を公布、軍の影響力を強化

(メキシコ)

メキシコ発

2021年07月19日

メキシコ政府は7月14日夕刻の官報で政令を公布し、現在は国税庁(SAT)の一部となっている税関総局をSATから分離独立させ、大蔵公債省傘下の独立自治機関としてメキシコ国家税関庁(ANAM)を設立することを明らかにした。ANAM設立に向けては、SATに税関分野の権限を付与している国内法(国税庁法など)を改定する必要があるため、本政令は国内法改正が国会で承認され、施行される日に発効することとなる。政令(法改正)発効後180日以内に、大蔵公債省は大統領に対し、ANAM内部規則の案について提案することになる。ANAMの長官は、大蔵公債省が指名して大統領が任命するが、初代長官としては、本政令発効時点の税関総局長(現時点ではオラシオ・ドゥアルテ・オリバーレス氏)を指名することが、政令付則4条で定められている。

税関をSATから独立させる最大の目的は、国防の強化だ(政令前文)。アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領の7月15日早朝記者会見によると、特に、麻薬、武器、知的財産権侵害品などの密輸を防止する目的があり、ANAMの職員として一部は国防省や海軍省に所属している軍人を採用する計画だ。政令の第8条にも、ANAMが現役の軍人、あるいは軍隊に所属していた人材を雇用することができると規定している。なお、ANAMの内部組織については、政令公布後180日以内に大蔵公債省が案を作成する内部規則で定められるため、それまでは現行のSAT税関総局が現行の規則に基づき税関運営を継続することとなる。

軍の過度な関与を懸念する声も

AMLO政権下では、これまで民間部門が進めていた公共事業などに国防省(SEDENA)や海軍省(SEMAR)などの軍隊を活用する動きが目立っている。サンタルシア空軍基地の拡張工事やマヤ鉄道の第6、第7区画の建設工事などは民間事業者ではなくSEDENAが行っているほか、2021年6月5日以降は、連邦政府管轄である主要港湾の港湾管理公社(API)の監督権(所属)を、これまでの通信運輸省からSEMARに移している。大統領が軍隊を重用する目的には、汚職撲滅と国防・治安対策の強化があるが、軍隊の過度な関与を懸念する声も聞かれる。2020年7月23日にハビエル・ヒメネス・エスピリウ前通信運輸相が辞任した背景には、国の経済活動における軍隊の必要以上の関与が「経済的にも政治的にも深刻な影響をメキシコの現在および未来に及ぼす」という懸念があった(2020年7月27日記事参照)。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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