「デジタル中国発展報告」、脱貧困や新型コロナ禍のデジタル技術活用評価

(中国)

中国北アジア課

2021年07月08日

中国の国家インターネット情報弁公室は7月2日、「デジタル中国発展報告(2020年)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(以下、報告)の全文を発表した。報告では第13次5カ年規画(2016~2020年)期間中におけるデジタル分野の発展成果や地域別の発展状況などを紹介している。

同期間中のデジタル分野の発展成果として、(1)情報インフラ関連施設の整備・進展、(2)貧困から脱出するためのデジタル技術の活用事例、(3)新型コロナウイルス禍の中のデジタル技術の活用状況などを紹介した。

(1)については、固定型ブロードバンドの家庭普及率が2015年の57.4%から2020年の96%に上昇したほか、2020年末時点の第5世代移動通信システム(5G)基地局が71万8,000カ所、5Gに接続する端末数が2億を超え、世界最大規模となっている。

(2)では、深刻な貧困地域のブロードバンド接続割合が2020年末時点で98%と、当初目標の90%を上回る成果が得られた。また、農村にもECが浸透し、農村ECの小売総額は2014年の1,800億元(約3兆600億円、1元=約17円)から2020年の1兆7,900億元へと急成長した。

(3)では、新型コロナウイルス感染拡大期に、工業情報化部が通信のビッグデータを衛生健康、公安、税関などの関連部門に情報を共有、全国の重点地域での人の流動状況を観測し、防疫措置を取った。そのほか、国務院弁公庁電子政務弁公室が推進した健康管理アプリ「健康コード」(注)による通行認証サービスの利用が計600億回以上あった。

地域別では北京、浙江、上海などが上位グループに

地域別の発展状況については、31の省・直轄市・自治区を(1)情報サービスの応用、(2)情報技術産業の集積、(3)産業のデジタル化、(4)情報インフラ施設の普及状況、(5)情報セキュリティーの確保、(6)発展環境という6つの指標を基に評価した。その結果、北京市、浙江省、上海市などが第1グループ、重慶市、安徽省、河南省などが第2グループ、広西チワン族自治区、山西省、吉林省などが第3グループとなった(添付資料表参照)。

第1グループではイノベーションを牽引する能力の増強、第2グループでは発展の質に合わせた情報化レベルの引き上げ、第3グループでは情報化発展エネルギーの加速とレベルアップなどの発展目標を示した。このうち、北京市では国家技術イノベーションセンター建設の積極的推進、上海市では国家人工知能(AI)先導エリアの創設などの具体的な目標を提示した。

報告では、第14次5カ年規画期間中も全面的にデジタル化を推進していくとした。5Gの商用化や応用を増やし、次世代の6Gネットワーク技術の準備を進めるなど、情報インフラ施設のレベルアップを行うほか、産業のデジタル化への転換や、デジタル技術産業のエコシステムを育成するなどの産業のデジタル化を推進していく。行政システムについては、政府機関間でデータを共有するスキームを作り、公共のデータベースシステムを構築し、政務のデジタル化を進めていくとした。

(注)所持者が新型コロナウイルスに感染しているリスクを色別にQRコードで示したもの。公共交通機関を利用する際や施設に入る際に提示が求められる。

(方越)

(中国)

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