タイ商務省、甲府市と宝石・宝飾品産業の促進にかかる覚書を締結

(タイ、日本)

バンコク発

2021年07月14日

タイ商務省国際貿易振興局(DITP)は7月12日、山梨県甲府市と宝石・宝飾品産業にかかる覚書(MOU)を締結した。署名式はオンライン上で行われ、ジュリン・ラクサナウィシット副首相兼商務相、ウィーラサック・ワンスパキットコーソン副商務相、ブンヤリット・カラヤナミット商務次官、ソムデット・スソムブーンDITP局長、樋口雄一甲府市長、松本一雄山梨県水晶宝飾協同組合理事長、河野将史ジェトロ山梨貿易情報センター所長が出席した。

宝石・宝飾品は、タイの輸出総額(2020年)の7.9%を占める主要輸出品目(2021年1月28日記事参照)で、同産業の育成と輸出促進はDITPにとって重要な課題だ。タイ商務省の発表によると、MOUにより(1)タイと甲府市の中小企業の間での宝石・宝飾品に関する技術交流、(2)日タイ共同でのマーケティング・販売促進活動、(3)日タイ間での宝石・宝飾品貿易の拡大、の3点が期待できるという。

樋口市長は、水晶の生産地だった甲府市では水晶研磨や加工技術が発達しており、同市が日本における宝石・宝飾品産業の集積地とアピール。2019年には自らもバンコクに訪問し、商談会を開催したことに言及した。その上で、MOUがタイと甲府市の宝石産業のさらなる発展を後押しする原動力となることに期待を示した。

甲府市、公益財団法人やまなし産業支援機構、ジェトロ山梨貿易情報センターは2017年度から日タイ交流事業を開始し、2019年度地域貢献プロジェクト「ジュエリー海外販路開拓支援事業外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を実施するなど、甲府市とタイの宝飾分野における産業交流や事業者の海外販路開拓支援の強化を図ってきた。タイのジュエリー市場に関する調査レポートも、ジェトロのウェブサイト上で閲覧が可能だ。

なお、ジュリン副首相は、今回の甲府市とのMOUを、深い貿易関係を構築するための「ミニ自由貿易協定(FTA)」だと表現した上で、これを皮切りに中国最南端の海南省やインド南部テランガナ州などとミニFTAを締結していく、と述べた。

(北見創)

(タイ、日本)

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