チリ、新型コロナワクチンの3度目接種に向け臨床試験を開始

(チリ)

サンティアゴ発

2021年07月15日

チリ保健省が新型コロナウイルスワクチンの3度目の接種に向けた臨床試験を7月9日から開始した。7月13日付「ラ・テルセラ」紙などが報じた。

同臨床試験は、ファイザー製、アストラゼネカ製、シノバック製の3種類のワクチンを使用し、2021年4月15日までにワクチン接種完了者(注)となった医療従事者や老人ホーム居住者など、500人以上のボランティアを対象に行われる。内容としては、3度目のワクチン接種を行う前と、接種を行ってから15日後に採取された免疫サンプルを比較することで、それぞれの免疫反応や副反応の差異についての調査を実施するというもの。世界でも感染が広がるデルタ型変異株が6月末にチリ国内で確認されたことで(2021年6月28日記事参照)、政府が現行のワクチン投与計画を強化する必要に迫られたとみられている。

エンリケ・パリス保健相は、7月12日に行われた定例会見で、既に国民への3度目のワクチン接種を実施しているイスラエルを例に挙げ、チリでも同国のように医療従事者や高齢者から優先的に3度目のワクチン接種を行うことになるだろうと述べ、準備が整い次第、追加接種の開始時期を発表するとしている。

一方で、現状、チリで接種が行われているワクチンのうち、7割以上を占める中国シノバック製については、ファイザー製やアストラゼネカ製と比べた際に、ウイルスの感染予防の観点では有効性が劣るとの研究結果も発表されている。そのため、接種済みのワクチンと追加接種時に使用されるワクチンの種別を変更することが許容されるのかという面にも注目が集まっている。

(注)所定回数のワクチン接種を完了した後、14日以上が経過した者と定義。

(岡戸美澪)

(チリ)

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