サプライチェーンのデジタル化で、物流データ交換プラットフォームを設置へ

(シンガポール)

シンガポール発

2021年07月15日

ヘン・スイキャット副首相兼経済政策調整相は7月13日、サプライチェーンのデジタル化促進で、安全な環境で物流データの交換が可能なプラットフォーム「シンガポール貿易データ交換(SGTraDex、注1)」の設置を発表した。同取引所は官民代表が構築中のもので、2022年初頭の稼働を目指している。

SGTraDexは、新型コロナウイルス流行終息後の経済戦略を立案する「力強く再生タスクフォース(EST)」の下に設置された9つの「行動のためのアライアンス(AfA、2021年5月21日記事参照)」の1つで、サプライチェーン関連のデジタル化に取り組む官民のアライアンスが構築しているプラットフォームだ。サプライチェーンのアライアンスを率いるのは、ESTの共同委員長を務める地場港湾管理会社PSAインターナショナルのタン・チョンメンCEO(最高経営責任者)と、スイスの商社トラフィグラのタン・チンヒーCEO。アライアンスには、銀行や港湾、物流会社の代表が参画する。同取引所は現在、(1)モノの動きとデータの整合性の向上による貿易金融の効率改善と、(2)コンテナ貨物の動きの可視化の向上、(3)船舶燃料産業内の手続きのデジタル化に取り組んでいる。

ヘン副首相の発表によると、同プラットフォーム上でやり取りする物流データは暗号化され、安全が確保された環境で送受信ができる。同プラットフォームを活用することで、これまで把握が難しかったリアルタイムの貨物の動きなど物流データが入手でき、物流関係者にとって貨物の取り扱いや手続きを効率化できるメリットがある。また、税関手続きや貿易金融、保険など物流に付随するサービスの改善もできるとしている。

シンガポール通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)とスマート国家デジタル政府グループは2020年12月、金融情報のプラットフォーム「シンガポール金融データ交換(SGFinDex)」の運用を開始している。同プラットフォームは、消費者が自身の身分暗証番号「シンガポール・パーソナル・アクセス(シングパス)」を用いて、異なる金融機関にまたがる預金やクレジットカード、保険などの個人の資産情報を可視化するというもので、約12万人が利用している(注2)。ヘン副首相は「今後、SGFinDexとSGTraDexのように安心してデータのやり取りができる仕組みを、他の分野や地域にも拡大してきたい」と述べた。

(注1)シンガポール貿易データ交換(SGTraDex)の詳細については、ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注2)シンガポール金融データ交換(SGFinDex)の詳細は、ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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