アルゼンチン政府、最低賃金の引き上げを5カ月前倒し

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年07月20日

アルゼンチン政府は、労働組合やアルゼンチン工業連盟と協議し、4月27日に合意していた段階的な最低賃金の引き上げ(2021年5月7日記事参照)を前倒しして実施することを決定した。前回の合意では、2021年3月に月額2万1,600ペソ(約2万4,624円、1ペソ=約1.14円)だった最低賃金を2022年2月までに段階的に35%、月額2万9,160ペソまで引き上げる予定だったが、今回の決定により2021年9月までに同額まで引き上げる。

7月7日に公布した国家雇用・生産性・最低賃金評議会決議第6/2021号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、今回の最低賃金の段階的な引き上げ額は次のとおり。

  • 2021年7月1日からは月額2万7,216ペソ、時給の場合は136.08ペソ
  • 2021年8月1日からは月額2万8,080ペソ、時給の場合は140.40ペソ
  • 2021年9月1日からは月額2万9,160ペソ、時給の場合は145.80ペソ

決議では、「活性化している経済成長を維持するためには、給与の回復は優先事項で、労働者の実収入を増加させるためには必要な手段だ」と今回の決定の理由を挙げた。

7月5日付の現地紙「アンビト」(電子版)は、「今回の最低賃金引上げの前倒しによって影響を受ける正規労働者の数は少ないが、最低賃金の半額に相当するさまざまな補助金や社会手当を受給している国民約540万人にとっては影響が大きい」としている。また、9月の国会議員の予備選挙(2021年6月9日記事参照)を前に最低賃金を再度見直すことで、選挙結果への好影響も期待していると分析する。クラウディオ・モロニ労働相は「(3月に加速した)インフレ率に勝てる賃金引き上げを目指す」と報道陣にコメントしている。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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