サンパウロ州、新型コロナ感染減で経済活動制限を緩和へ

(ブラジル)

サンパウロ発

2021年07月30日

ブラジル・サンパウロ州のジョアン・ドリア知事は7月28日の記者会見で、州内の新型コロナウイルス新規感染者数や入院者数、死亡者数が大幅に減少している(注1)ことを踏まえ、8月1日から8月16日の期間は経済活動への制限を緩和すると発表した。

サンパウロ州の感染警戒レベルは現在、最も厳しい「緊急事態フェーズ」とその次に厳しい「赤(フェーズ1)」の間に位置する「移行フェーズ」にある。8月1日以降もこのフェーズは維持するが、レストランやバー、ショッピングセンターなどの商業施設は午前6時から翌日午前0時まで営業可能になる。なお、顧客が各施設に入場できる時間は午後11時まで。また、商業施設などの収容人数は現在の60%から80%に引き上げる。

同日の記者会見で州政府は、経済活動を制限したことで感染拡大が抑制でき、ワクチン接種も進んでおり、この抑制効果が続けば、8月17日から「移行フェーズ」における経済活動への制限措置を見直し、商業施設などの収容人数は100%まで引き上げる可能性があることを発表した。サンパウロ市内の目抜き通りパウリスタ大通りは7月18日、1年4カ月ぶりに歩行者天国を実験的に再開し、ショッピングやジョギング、サイクリングを楽しむ人々の姿が見られた。

同州の新型コロナワクチン接種スケジュールでは、8月20日までに18歳以上の対象者に少なくとも1回の接種を行う予定としていた(2021年7月15日記事参照)が、28日の発表では、これを8月16日までとして4日間早めるとした。

同州政府は接種予定の前倒しについて、サンパウロ州立ブタンタン研究所を通じて中国のシノバック・バイオテック製のワクチンを追加調達したことによるものと述べた。州政府はまた、2021年1月17日にブラジル国内でワクチン接種を開始して以降、同州では7カ月で接種スケジュール(注2)を完了することを強調した。

写真 サンパウロ市内のパウリスタ大通りの歩行者天国が再開した時の様子(ジェトロ撮影)

サンパウロ市内のパウリスタ大通りの歩行者天国が再開した時の様子(ジェトロ撮影)

(注1)サンパウロ州政府が週単位でまとめたデータをみると、第29週(7/18~24)は第28週(7/11~17)と比較して、新規感染者数が20.6%減、入院者数18.3%減、死亡者数9.6%減となっている。

(注2)18歳以上の対象者に少なくとも1回目の接種を行うべく設定した年代別の新型コロナワクチン接種スケジュール。州の決定を詳細化する各市の決定が出る場合があるため、州・市の両者の発表を適宜確認することが望ましい。

(古木勇生)

(ブラジル)

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