小売業の課題を議論、全米小売業協会開催のイベント

(米国)

ニューヨーク発

2021年07月02日

全米小売業協会(NRF)は6月21~25日、小売業界の専門家が業界の現状や今後の課題などについて議論するオンラインイベント「リテール・コンバージ」を開催した。同イベントでは、小売市場のデジタル化を中心に、9つの分野(注)に焦点を当て、議論が行われた。主催者によると、同イベントの開催は今回が初めてで、5日間の会期を通じて160以上のセッションが行われた。

イベントでは、ウォルマートやメイシーズといった大手小売業や流通業者などのトップが登壇し、消費者がより利便性の高いサービスを求める中で、顧客視点の体験創出に注力することが業界共通のテーマであることを強調した。

基調講演では、米小売り最大手ウォルマート米国部門のジョン・ファーナー社長兼最高経営責任者(CEO)が、小売り販売のデジタル化が進む中で、消費者からは「いつでもどこでも買い物ができ、受け取り方法を選択できる」オムニチャネル化が今後一層求められると指摘した。また同氏は、一時は「新型コロナ禍」で深刻な事態に陥った米国だったが、同時にイノベーションが進み、「(同社の)Eコマース分野は4年分の成長を遂げた」と述べた。同社では、巨大な店舗網を活用し、ネットで注文された商品の店舗受け取りサービスなどを強化し、消費者の利便性を高めるとともに、店舗に新たな重要な役割を与えたという。さらに、同氏は「これまで店舗は消費者が買い物をするために訪れる場所だったが、今後は商品を受け取る場所としての機能がこれまで以上に大きくなる」と述べ、オンラインとオフライン双方の利点を融合したサービスの需要が拡大している点を強調した。

主なトークセッションについては、2021年7月2日記事参照

(注)(1)商品ロスの回避/資産管理/セキュリティ、(2)リテールテック/IT、(3)サプライチェーン/ロジスティクス/流通、(4)サイバーセキュリティ/データプライバシー、(5)マーケティング/データ分析/販売計画、(6)顧客体験、(7)Eコマース/デジタル/モバイル、(8)店舗運営、(9)企業戦略/リーダーシップ、の9分野。

(樫葉さくら)

(米国)

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