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自動車メーカーのステランティス、EV化に向け、2025年までに355億ドルを投資

(米国)

ニューヨーク発

2021年07月15日

自動車メーカーのステランティスは7月8日、電気自動車(EV)化に向け、2025年までに300億ユーロ(約355億ドル、注1)超の投資をすることを明らかにした。

計画の中で同社は、2030年までに米国で販売される新車のうち、バッテリー式電気自動車(BEV)を含む低公害車(LEV)の割合を40%(欧州は70%)以上とする目標値を発表。BEVに関しては、自社傘下の14ブランド全てに対し、1回の充電当たり300~500マイル(約480~800キロ)の航続距離と、1分当たり20マイル(約32キロ)走行可能な電力を充電できる急速充電機能を備えた車両を投入する。また、車両の基本構造(プラットフォーム)を4種類、電気駆動モジュールを3種類にまで統合し、さらにバッテリーパックを標準化することで、効率化とコスト低減を目指す。

バッテリーの開発に関しては、バッテリーパックのコストを2024年までに2020年の水準から40%以上、2030年までにさらに20%以上を削減することが目標として掲げられている。また、安定供給が懸念されているコバルトを使用しない製品などを2024年までに、全固体電池の技術を2026年までに、それぞれ導入することも含まれている。加えて2030年までに、北米と欧州の5カ所のバッテリー工場などからの供給により、260ギガワット時を超える容量を確保することにも言及した。なお同社は、リチウムバッテリーの主原料で、今後の供給不足が懸念されるリチウムを確保するため、地熱を利用した地下かん水(注2)由来のリチウムの調達に向け、米国と欧州の地熱関連企業2社と覚書(MOU)を交わしている。

ステランティスは、フィアットクライスラー・オートモービルズ(FCA)とグループPSA​の合併により2021年1月に誕生した。合併前、FCAは他の米国系メーカーに比べてEV化に慎重な姿勢を示していた。今回の発表に関して、米国金融サービス企業ジェフェリーズのフィリップ・フーシュワ氏は「(今回の発表で)ステランティスが業界の電化に後れをとっているという長引く懸念が和らいだはずだ」と述べ、「(同社が)同業他社と一致する産業戦略、さまざまな市場のペースと同期した製品づくり、これまでの資本効率と一貫性のある設備投資を行うのだということを理解した」と評価した(オートモーティブニュース7月9日)。

EV化に向けては、既に各メーカーがさまざまな計画を発表している。2035年までに全新車のZEV(ゼロエミッション車)化を目標とするゼネラルモーターズ(GM)は2021年6月に、2020年から2025年までのEV化と自動化に向けた投資額を、2020年3月に発表していたこれまでの予定額(200億ドル)から350億ドルに増額すると発表した。また、フォードも2021年2月に、2025年までにピックアップトラック「F-150」など複数モデルのEV化に向け、従来の計画から2倍近い、220億ドル以上の投資計画を発表している。さらに、韓国メーカーの現代と起亜は2021年5月に、EVの生産拠点設立などを目的として、2025年までに米国で74億ドルの投資を行うとしている。

また、バッテリーの開発・生産に関しても、GMとLGエナジーソリューションが合弁会社「アルティウムセルズ(Ultium Cells LLC) 」を、フォードとSKイノベーションが合弁会社「ブルーオーバルSK(BlueOvalSK)」をそれぞれ設立するなど、新たな動きが進んでいる。ステランティスに関しては、サムスングループ傘下のバッテリーメーカーであるサムスンSDIからのバッテリー供給の可能性が報じられている(ロイター7月8日)。

(注1)発表時点の換算レートによる。

(注2)塩類濃度の高い溶液。

(大原典子)

(米国)

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