1,500億リンギ相当の追加景気刺激策を発表

(マレーシア)

クアラルンプール発

2021年07月06日

マレーシアのムヒディン・ヤシン首相は6月28日、追加の景気刺激策となる1,500億リンギ(約4兆500億円、1リンギ=約27円)相当の「国家国民福祉経済回復パッケージ(PEMULIH)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(注)を発表した。同パッケージは、これまでの景気刺激策と同様に、国民福祉、ビジネス支援、ワクチン接種の増加に焦点を当て、低中所得層向けの生活補助、中小企業向けの資金繰り支援、賃金補助制度、ワクチン接種プログラム参加企業へのインセンティブ、フロントライナーへの一時金などが盛り込まれた。

新たにワクチン集団接種への支援

日系企業を含む外資系企業が利用できるとみられるビジネス支援の施策としては、賃金補助制度、若者および失業者の採用インセンティブ、人的資源基金(HRDF)の拠出金免除、新型コロナウイルスワクチンの集団接種プログラム(PIKAS)参加企業へのインセンティブなどが挙げられる。

賃金補助制度は、今回で第4弾となる。従業員1人当たり月600リンギを最大4カ月分、500人分を上限に支給される。最大4カ月分の内訳は、8月末めどの移行を目指す「国家回復計画」第2段階に全業種を対象に2カ月分、10月ごろの移行を目指す第3段階に操業禁止業種を対象に2カ月分となる。管轄機関は、社会保障機構(SOCSO)となる。制度の詳細は未発表だが、これまで実施された賃金補助制度では、売上高が一定以上減少していることが主な条件となっている。なお、その他の条件として、申請可能な従業員は月給4,000リンギ以下のみに限られていたが、第4弾からは撤廃されるという。

6月から、製造業で先行して実施されている集団接種プログラムについては、人的資源開発公社(HRD Corp)に登録していることを条件に、参加企業はプログラムにかかる費用に対して、人的資源基金の拠出金残高の最大10%までを利用することができる(2021年6月15日記事参照)。また、工場敷地などの現場接種を実施する企業に対しては、会場の設営費などの準備費用に対する所得控除を受けることができるという。

(注)マレー語のみ(2021年7月2日時点)。

(田中麻理)

(マレーシア)

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