2020年の人口は1億903万人、5年間で800万人超増加

(フィリピン)

マニラ発

2021年07月15日

フィリピン統計庁(PSA)は7月7日、同国の人口が2020年5月1日時点で1億903万5,343人だったと発表した。2015年の人口調査時には1億98万1,437人で、前回調査時と比較して人口は805万3,906人増加した。2015年から2020年にかけての年平均人口増加率は、1.63%となる。2010年から2015年にかけての増加率は1.72%だったため、若干増加率が低下したものの、高い水準を維持している。なお、日本については、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2015年から2020年にかけての年平均人口増加率は、マイナス0.28%とされている。

地域別人口では、17の行政区域のうち、カラバルソン地域が1,619万5,042人と最大だった。次にマニラ首都圏1,348万4,462人、中部ルソン地域1,242万2,172人と続き、これら3地域で2020年のフィリピン全人口の38.6%を占めている。最も人口が少ない地域は、コルディエラ地域で179万7,660人だった。

カラバルソン地域の2015年から2020年にかけての年平均人口増加率は、フィリピン全体を大きく上回る2.48%で、17の行政区域の中で2番目に高い(最高はバンサモロ・ムスリム・ミンダナオ自治地域の3.26%)。一方、マニラ首都圏は人口規模が2番目に大きいものの、年平均人口増加率は全国平均を大きく下回る0.97%だった。

人口開発委員会によると、高い水準での人口増加は、将来的には豊富な労働供給をもたらすなど、フィリピン経済に便益をもたらす可能性がある。しかし、急激な人口増加が起こった際に、教育や就労の機会を提供することができなければ、これら人口の生活を支えるために、家計支出や社会保障費の増大といったかたちで社会的なコストが大きく発生するリスクがある。そのため、フィリピン政府は、高い水準にある人口増加率を抑える方針を打ち出している。PSAの発表を受け、人口開発委員会のアントニオ・ペレス次官は7月8日、「2025年には出生率が、人口置換水準(注)へと低下し、安定的な人口動態が実現するだろう」との見解を示した(「ビジネス・ミラー」紙7月8日)。

(注)人口置換水準とは、人口が長期的に増えも減りもせずに一定となる出生の水準を意味する。

(吉田暁彦、サントス・ガブリエル)

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