カンボジア保健省、医療逼迫を背景に自宅隔離ガイドラインを発表

(カンボジア)

プノンペン発

2021年07月20日

カンボジア保健省およびプノンペン都は7月12日、新型コロナウイルス陽性者の自宅隔離に関するガイドラインを発表した。同日のプノンペン都の記者会見によると、医療現場が逼迫し病床が不足していることから、約1,000人が自宅隔離を行っている。自宅隔離の対象は、無症状(注)や軽症状の陽性者で、ガイドラインのポイントは以下のとおり。

1.療養中のルール

  • 自宅隔離中もマスクを着用し、家族とは別室で過ごすこと
  • 部屋の換気が十分にできる環境であること
  • 家族と話す必要がある際には、2メートル以上の間隔をあけること
  • ごみは家族と別の袋に密閉した状態で入れ72時間以上経過してから、ごみ集積所に持っていくこと
  • 毎日、朝と夕方に体温を確認し、健康状態を確認すること
  • 水分と栄養のある食事をとり、アルコールやたばこは控えること
  • 医師と電話やソーシャルメディアを通じて毎日連絡を取り状況を報告すること
  • 呼吸困難や胸痛など、症状が悪化した場合は至急、医師や保健省に連絡し指示を仰ぐこと

2.軽症状に対する治療

○発熱や頭痛、喉の痛み、節々の痛みがある場合

  • 児童の体重が30キロ以上および大人は300ミリグラムのパラセタモールを1日3回、体重30キロ未満の児童は300ミリグラムのパラセタモールを1日1回服用すること

○風邪(鼻水、鼻詰まり、せきなど)の症状がある場合

  • 6歳以上は8ミリグラムのブロムヘキシンを1日3回もしくは、セチリジン10ミリグラムを1日1回服用すること
  • 大人は上記に加え、4錠の連花清瘟(Lianhua Qingwen)を1日に3回服用すること

邦人への感染拡大が懸念

在カンボジア日本大使館は邦人の感染が散見されるため、短期渡航の中止や短期滞在者への帰国を呼び掛けている。大使館は5日、カンボジア国内で新型コロナウイルスに感染した場合、プライバシーのない隔離施設に強制的に収容されるリスクがあることを発表していた。実際に隔離施設に収容された邦人によると、浴室や洗面所を含め施設内の衛生に懸念があり、食事にも手をつけられないことがあったという。

自己負担による医療機関での隔離も認められているが、感染者数の増加に伴い病床が不足している。

(注)37.5度以下、呼吸数14~20回/分(大人)、収縮期血圧90ミリメートルエイチジー(mmHg)以上。

(井上良太)

(カンボジア)

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