北欧のエコシステムを紹介、ジェトロがウェビナー開催

(フィンランド、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、アイスランド、北欧)

イノベーション促進課

2021年07月19日

ジェトロは7月6日、ノルディックイノベーションハウス東京外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(NIH Tokyo)とイノベーション・ラボ・アジア外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ILA)との共催で、「第5回オープンイノベーション塾」(注)を開催した。今回は「北欧のエコシステムの特徴と現地発『アーバンテック』の最新動向」と題して、北欧5カ国(フィンランド、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、アイスランド)のスタートアップエコシステムにフォーカスし、3人が講演した。

NIH Tokyoのニコラス・カルボネン氏は、北欧5カ国の特徴的な産業やクラスター、著名ユニコーン企業などを紹介。競争力やイノベーション指数などの世界ランキングで北欧諸国が上位にあることを示した上で、無料の公教育と強固な社会保障といった福祉国家の基盤により、北欧の人々には失敗を恐れずチャレンジできる起業家精神があると述べた。

ILAのオリバー・ホール氏とユリアン・森江・原・ニルセン氏は、ILAが同日公開した北欧アーバンテックに関する報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を紹介。アーバンテックとは、建設や都市インフラ、屋内環境、交通機関のモビリティー、その他の都市生活面に対応するデジタルソリューションのこと。多くはクラウドサーバー上でインターネット経由で提供されるソフトウエア「SaaS(Software as a service)」として、または情報通信技術(IoT)デバイスと人工知能(AI)やビッグデータを駆使したソフトウエアの組み合わせとして提供され、都市の持続性を高めることを目的としている。ILAのニルセン氏によると、混同されがちなスマートシティーが新たなタイプの都市という包括的なコンセプトなのに対し、アーバンテックは事業分野としての位置づけ。同報告書には、日本進出や日本企業との協業に関心を持つ北欧のアーバンテック・スタートアップ25社を掲載している。

続いて講演したフィンランドのスタートアップSensible 4外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの海保常毅氏は、自動運転技術のソフトウエアを開発し、複数の日本企業と協業を進める同社唯一の日本人スタッフとして、営業を担当。無印良品が内外装デザインを担当した、あらゆる天候下で運行可能な自動運転シャトルバス「ガチャ(GACHA)」や、トヨタ自動車とノルウェー企業と行う自動運転の定時運行に関する実証実験などを紹介した。

また、海保氏は、日本企業が協業のために北欧企業とミーティングする際、会合の場でどのような協業が可能か考えるのではなく、あらかじめ自社なりに考えたアイデアや希望を会合の中で伝えていくことが北欧企業との信頼関係を構築する上では重要だと視聴者にアドバイスした。

写真 講演の様子:NIH Tokyoのカルボネン氏(左上)、ILAのホール氏(右上)、ILAのニルセン氏(左下)、Sensible 4の海保氏によるGACHAの紹介(右下)(ジェトロ撮影)

講演の様子:NIH Tokyoのカルボネン氏(左上)、ILAのホール氏(右上)、ILAのニルセン氏(左下)、Sensible 4の海保氏によるGACHAの紹介(右下)(ジェトロ撮影)

(注)海外のスタートアップエコシステムの情報や現地スタートアップとの協業のコツ、国際的な協業をする際の知財面と契約面の留意点の情報を提供するセミナーシリーズ。

(森友梨)

(フィンランド、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、アイスランド、北欧)

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