米ニューヨーク市長予備選、民主党は現ブルックリン区長アダムス氏が勝利確実

(米国)

ニューヨーク発

2021年07月09日

6月22日に行われた米国ニューヨーク市長選の民主党予備選挙(2021年6月25日記事参照)で、現ブルックリン区長のエリック・アダムス氏の勝利が確実になったと複数のメディアが報じた。アダムス氏は当初からリードしていたものの、不在者投票が集中して開票作業が遅れていた選挙区域の多くで、2番手につけていたキャサリン・ガルシア氏が支持されていたため、各メディアでは逆転の可能性も報じていた。

アダムス氏は、サービス従業員国際組合(SEIU)をはじめとする20以上の労働組合や、現連邦議会議員、ニューヨーク州上院議員、ブロンクス区長、クイーンズ区長など延べ50人以上の要人から支持されていた。また、今回の市長選で最も注目を集めた課題の1つの治安改善について、元警察官のアダムス氏の経歴が評価されたことになる。

同氏は、2020年5月以降に起きた「ブラック・ライブズ・マター(Black Lives Matter)」とほぼ同時に市民の間で支持が広がった、不当な黒人逮捕を阻止することを目的とした「警察予算の削減運動(Defund the Police)」には早くから反対の姿勢を示していた。同氏は討論会で経済発展には治安改善が必要と訴えるとともに、根本的な治安改善のために、重度の精神障害者に対し、裁判所の命令による治療を義務付ける権限を裁判官に与えたいと述べていた。また、地下鉄にも警察官だけでなく精神保健専門家も配置することを計画しているとも述べていた。

ニューヨーク市長選挙の本選は11月2日に予定されている。同市では民主党支持者が過半数を占めるため、アダムス氏がニューヨーク市長になることが確実視されている。現在、黒人として史上初のブルックリン区長を務めている同氏は、ニューヨーク市長選に当選した場合、デービッド・ディンキンズ元市長(1990~1993年)に次ぎ、史上2人目の黒人市長となる。

(吉田奈津絵)

(米国)

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