米ニューヨーク市長予備選、民主党は現ブルックリン区長のアダムス氏リード

(米国)

ニューヨーク発

2021年06月25日

米国ニューヨーク市では6月22日、11月の市長選挙本選に向けて民主党、共和党それぞれの候補者を選ぶ予備選挙が行われた。今回の選挙では初めて「優先順位付き投票」が導入され、有権者は、候補者の中から最大5人を1~5番の優先順位を付けて投票することができる。この方式の投票では、1回目の集計で1番の得票数が有効投票数の過半数に達した候補者が当選となる。過半数を獲得した候補者がいない場合、得票数の最も少ない候補者が落選する。2回目の集計では、落選した候補者を1番として投票した有権者の票は当該有権者が2番を選んだ候補者へ割り振られる。これが繰り返され、最終的に過半数の得票数を獲得した候補者が当選する。

ニューヨーク市では民主党支持者が過半数を占めるため、今回の民主党候補者の予備選を制した候補者が11月の本選でも勝利する可能性が高い。

今回、民主党の候補者は13人で、そのうち8人が有力候補者とされる(添付資料表参照)。「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版の23日時点の1回目の投票結果によると、現ブルックリン区長のエリック・アダムス氏が31%の得票率でリードしている。同氏は、前大統領選挙の民主党予備選候補者だったアンドリュー・ヤン氏や現ニューヨーク市会計監査官のスコット・ストリンガー氏とともに、アジア系住民への差別的事件に対して積極的に声を上げていた候補者の1人だ(「ニューヨーク・ワン」電子版5月30日)。

アダムス氏の次には、元市長顧問弁護士のマヤ・ワイリー氏と前ニューヨーク市衛生委員のキャサリン・ガルシア氏が競い合っている。ワイリー氏は警察予算の削減を支持する一方、自宅にはプライベート警備員を雇っている点に関して、アダムス氏などから偽善的だと指摘されていた(「ニューヨーク・ポスト」紙電子版6月8日)。

支持率で当初リードしていた台湾系米国人のヤン氏は、討論会やメディア、190万人のフォロワーを持つ自身のツイッター上での失言を指摘され、謝罪する場面が多くみられ、23日時点の得票率は11%にとどまった。同氏は22日の投票終了から間もなく、撤退を表明した。

一方、共和党の予備選では、ラジオ番組司会者のカーティス・スリワ候補が勝利を確実にした。

「ニューヨーク・タイムズ」紙は、新しい投票方法の導入と不在者投票の開票結果待ちにより、民主党当選者が正式に発表されるのは7月12日の週になると予想している。

(吉田奈津絵)

(米国)

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