2020年のASEANへの外国直接投資、米国が2年連続首位

(ASEAN、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマー)

バンコク発

2021年07月26日

ASEAN事務局が6月末に更新した外国直接投資(FDI)統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2020年のASEAN10カ国のFDI受入額(ネット、フロー)は前年比24.6%減の1,373億4,200万ドルだった。構成比で3分の2を占めるシンガポールは20.6%減の905億9,800万ドル、インドネシアが22.2%減の185億8,100万ドル、ベトナムが2.0%減の158億ドルの順で、タイはマイナス47億6,800万ドルの純流出だった(別添資料図1、表1参照)。

FDIを投資家側の国・地域別でみると、最大だったのは米国(構成比:25.3%)で、0.5%増の347億5,000万ドル、ASEAN(同17.0%)による域内投資が5.4%増の232億9,000万ドル、香港(8.7%)が6.9%減の119億8,200万ドルの順だった。日本(6.2%)は64.4%減の85億ドルと縮小したが、EUや中国、韓国を上回った(添付資料図2、表2参照)。

FDIを業種別にみると、最大の割合を占めたのは金融・保険(36.9%)で11.3%減の506億6,900万ドルだった。続いて、卸小売り・自動車整備(19.5%)が4.6%減の267億7,200万ドル。製造(14.6%)は59.2%減の200億1,100万ドルと大幅に後退した(添付資料表3参照)。

主な国・地域別によるASEANへのFDIの業種別内訳は以下のとおり。

  • 米国(添付資料表4参照):金融・保険への投資が2.6倍の231億3,900万ドルで66.6%を占めた。専門・科学・技術活動が26.6%減の103億500万ドル、製造が31.8%減の65億1,300万ドルと投資額は大きかったが、前年比2桁減と減退した。また、卸小売り・自動車整備でマイナス63億5,100万ドルの大幅流出が見られた。
  • 日本(添付資料表5参照):金融・保険が34億9,200万ドル、製造が30億2,700万ドルと2業種への投資が大きいが、両業種とも前年比で半分以下に縮小した。
  • EU(添付資料表6参照):卸小売り・自動車整備が40.0%減の68億9,600万ドルと引き続き首位を占めた。金融・保険業も2.2倍の51億3,600万ドルと大きく伸びた。他方、専門・科学・技術活動はマイナス37億2,200万ドルと流出が大きかった。
  • 中国(添付資料表7参照):製造へのFDIが30.9%減の20億7,600万ドルと縮小した(構成比では27.2%で最大)。不動産も13.4%減の17億3,500万ドルと減少した。一方、卸小売り・自動車整備は52.7%増の12億8,700万ドルと拡大した。

(北見創)

(ASEAN、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマー)

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