第1四半期GDP成長率は1.0%、農業と工業が堅調もサービス業低迷

(ブラジル)

米州課

2021年06月22日

ブラジル地理統計院(IBGE)は6月1日、2021年の第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率を発表した。前年同期比で1.0%、前期比(季節調整済み)で1.2%だった。

前年同期比のGDPの伸びを産業別にみると、農畜産業が5.2%増、工業が3.0%増、サービス業が0.8%減だった(添付資料表参照)。農畜産業が好調だった理由として、IBGEはプレスリリースの中で、大豆など穀物の生産量が増加した点を挙げている。食糧供給公社(Conab)も、5月に発表した穀物作柄調査において、2020/2021年度(10月~翌9月)の大豆生産量は1億3,190万トンと前年度比8.6%増加すると見込んでいる。

工業では、製造業が5.6%増と好調だった。機材や金属製品、非金属鉱物製品などの生産が堅調だったためだ。また、経済活動の再開によって、電気・ガス・上下水道・都市清掃も2.1%増となった。一方、鉱業(1.3%減)と建設(0.9%減)はマイナスだった。

サービス業は、情報サービス(5.5%増)、金融仲介・保険(5.1%増)、商業(3.5%増)などは増加した一方で、飲食店やホテル業などが含まれるその他サービス(7.3%減)と行政・衛星・公共教育(4.4%減)の減退がサービス業の成長率を押し下げる要因となった。IBGEのプレスリリースにおいて、レベッカ・パリス国民経済計算コーディネーターは「サービス業のマイナスは対面でのやりとりがある業種などでの不振が要因で、これら業種は引き続き新型コロナ感染拡大の影響を受けている」と分析し、飲食店、ホテル、観光業などが引き続き影響を受けているとした。サンパウロ州では3月15日から30日までの間、感染警戒レベルの中で最も高い「緊急事態フェーズ」が適用され、その1段階下の「赤(フェーズ1)」では認められていたレストランなどの活動も制限されており、サービス業のマイナス要因となったとみられる(2021年3月15日記事参照)。

(高氏朋佳)

(ブラジル)

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