技術やソフトウエアの移転も安全保障貿易管理制度の規制対象に

(タイ)

バンコク発

2021年06月01日

タイ商務省外国貿易局(DFT)は5月24日、キャッチオール規制(CAC)措置〔大量破壊兵器(WMD)関連物品、最終使用目的・最終使用者がWMDに関連すると合理的に疑われる物品にかかる管理措置〕の通知案に関する同月6日の第1回公聴会(2021年5月17日記事参照)に続く第2回公聴会をオンラインで開催した。今回は管理対象に無形財(技術・ソフトウエア)を追加する点が説明された。

新案は旧案に比べて以下のような違いがある。

  • 「技術・ソフトウエアの移転」を管理対象活動に含める。また、技術やソフトウエアも規制対象のデュアルユースアイテム(DUI:軍事利用可能な民生品)に含める。
  • 「技術・ソフトウエアの移転」の定義を追加:人による技術・ソフトウエアの移転とする。これには、技術支援や研修、コンサルテーション、学術・研究機関による研究協力、会議・セミナーでの研究論文の発表、電子メールや電話、ファックス、ソフトウエア、インターネット、電子媒体、その他の有形の媒体を用いた技術・ソフトウエア移転を含む。
  • 「技術・ソフトウエア」の定義を追加:DFTの電子WMD貿易管理(e-TCWMD)データベースに基づき、DUIの開発・生産・使用に関連する知識、技術、特定の情報、必要な情報とする。
  • 疑わしいDUIに対する調査の提起をDFTに通知する所定フォーム(注)に、商取引での技術・ソフトウエアの移転に関する項目を追加する。DFTに通知する際は(HSコードによる申告は不要だが)技術・ソフトウエアの移転者に関する情報も最低情報要件とする。
  • 内部コンプライアンスプログラム(ICP)の実施に当たって、WMD拡散リスクを考慮する重要要素として「ICP認証基準と対照し、輸出者、再輸出者、積み替え・トランジット業者、技術・ソフトウエアの移転者にWMD開発リスクがないことを示す証拠を提供できない場合」という文言を追加。
  • 技術・ソフトウエアが有形媒体を介して移転される場合、DFTが調査結果を税関に通知する。調査の結果、新たなCAC措置が発動された場合、当該結果は利害関係者に通知され、通知受領日から有効となる。利害関係者は通知受領日から30日以内に不服を申し立てることができる。

(注)当初は管理当局のみがDFTに通知できるが、CAC制度が浸透した後は、企業も他の事業者が疑わしいDUIを輸出していることをDFTに届け出ることが可能となる見込み。

(シリンポーン・パックピンペット、北見創)

(タイ)

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