第1四半期のGDP成長率は前期比プラス4.6%、3期連続のプラス成長

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2021年06月15日

南アフリカ共和国統計局は6月8日、2021年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(前期比、年率換算、季節調整済み)を4.6%と発表した(添付資料表1参照)。2020年6月から新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウンに伴う経済活動の制限が段階的に緩和されたことを受けて、3期連続のプラス成長となった(2021年3月12日記事参照)。2020年の通年の成長率はマイナス7.0%だった。

産業別では、GDPの約2割を占める金融・保険・不動産業・企業サービスが経済活動の活性化を受けて7.4%増で、最大の寄与度になった。鉱業も主要生産鉱物の白金族、鉄鉱石、金の生産回復により18.1%増だったほか、卸・小売り・飲食業なども6.2%増のプラス成長となった。一方で、農林水産業は農産物と畜産物の生産減により3.2%減だったほか、電気・ガス・水道も配電量と水消費量の減少により2.6%減だった。国内では電力公社エスコムの発電施設の維持管理の不備などにより、不安定な電力供給が続いており、経済活動全体への影響が懸念される。

需要項目別にみると、需要全体の約6割を占める民間最終消費支出は、耐久消費財とサービスの支出が好調だったことにより、3期連続プラス成長の4.7%増だった(添付資料表2参照)。一方、総固定資本形成は企業の機械・設備の買い控えにより、2.6%減と前期のプラス成長からマイナスに転じた。輸出は鉱物、自動車、その他の輸送機器の輸出減により0.9%減だったが、輸入は鉱物、機械・設備、自動車などの輸入増で26.5%増だった。

南アの大手投資銀行インベステックのエコノミスト、ララ・ホデス氏は8日、IMFが2021年の世界全体の経済成長率を6.0%に引き上げたように(2021年4月7日記事参照)、世界経済と資源需要の回復は、資源輸出国の南アの経済にとって追い風になるとの見方を示した。また、世界銀行は同じく8日に発表した「世界経済見通し外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で、2021年の南アの経済成長率を3.5%と、同行が1月に予測した3.3%から上方修正した(2021年1月12日記事参照)。

(高橋史)

(南アフリカ共和国)

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