イスラエル外相・外務省、イラン大統領選のライーシー氏当選を警戒

(イスラエル、イラン)

テルアビブ発

2021年06月24日

6月18日のイラン大統領選挙で保守強硬派のイブラーヒーム・ライーシー氏が当選したこと(2021年6月21日記事参照)を受けて、イスラエル国内の報道もサウジアラビアと同様に、おおむね事実関係を伝えているものが多い。

その中で、6月20日付「エルサレム・ポスト」紙は、ライーシー氏自身が米国の制裁対象となっている人物(注)であることを指摘した上で、ヤイル・ラピッド外相が同氏を「数千人のイラン人の死に責任がある過激派」と非難し、「イランの核開発計画やその破壊的な野心を迅速に止める決意を新たにすべき」と述べたことを報じている。

同紙はさらに、イスラエル外務省の「(ライーシー氏は)イランで急速に進展する核構想を推進した人物であり、彼が大統領に当選したことにより、イランの真の意図が明確になった。このことを国際社会は強く懸念すべきだ」との声明も報じている。また、投票率が48.8%とこれまでの大統領選挙で過去最低となったことを踏まえて、370万票余りの無効票はイラン国民による抗議の姿勢ではないかという見方も示している。

そのほか、6月19日付「タイムズ・オブ・イスラエル」紙は、クネセト(イスラエルの国会に相当)の外務国防委員長が「ライーシー氏の大統領就任は、イスラエルと西側諸国に対する大きな挑戦の表明」とし、「ライーシー氏の当選は(イランの最高指導者)ハメネイ氏による、イランの外交やテロ・核開発に関する政策を急進化させようとする決定」と述べたと報じている。

(注)米国は、ライーシー氏が1988年にイランで起こった政治犯処刑や2009年の反政府デモ弾圧に関与したとみて、人権侵害を理由に制裁対象としている。

(吉田暢)

(イスラエル、イラン)

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