違法な児童労働の防止・削減プログラムを承認
(ベトナム)
アジア大洋州課
2021年06月08日
ベトナム政府は5月27日、首相決定782/QD-TTg号を発し、「2030年を見据えた、2021~2025年の違法な児童労働の防止、削減プログラム」を承認した。
首相決定782号では目標として、(1)違法な労働に従事する児童・未成年労働者(5歳から17歳まで)の割合を4.9%まで減らす努力をすること(注)、(2)児童労働者、その危険のある児童および労働力の搾取のために売買される児童が通報された場合、その100%が救援、適時の介入、管理・観察を受けることができること、(3)90%の児童労働者、その危険のある児童が普通教育と適切な職業訓練を受けることができること、などを掲げた。
さらに、2030年までの方向性として、(1)違法な児童・未成年労働者の割合を4.5%まで減らす努力をすること、(2)加重・有害・危険な労働を強いられる児童・未成年労働者の割合を最小化することを掲げた。
ILOとベトナム政府が2018年に実施した調査によると、ベトナムでは5歳から17歳までの人口(1,925万人)のうち、5.4%に当たる103万人が児童労働に従事しているとされる。そのうち、52万人が加重・有害・危険な労働を強いられている(さらに、このうち13万人は工場や製造現場での労働)。
ベトナムは、世界で2番目に国連の「子どもの権利条約」を批准(1990年2月28日)した国であるほか、児童労働の実効的な廃止などを定めたILO宣言の維持、実行を定めた環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)、EUベトナム自由貿易協定(EVFTA)を締結するなど、児童労働の問題に従来から一貫して取り組んでいる。
(注)首相決定では違法の定義は明記されていないが、ベトナムの労働法典(990KB)第143条から第147条には、児童・未成年が就業できる業務、就業が禁止される業務、職場、使用要件、労働時間などについて定められている。
(北嶋誠士)
(ベトナム)
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