深セン塩田港が全面再開、混乱収束には時間要する

(中国)

広州発

2021年06月28日

中国・深セン市は6月24日に開催した新型コロナウイルス防疫記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、「塩田港の感染状況は基本的に収束した」と発表した。5月21日に塩田港作業員のアルファ(英国)型変異株の感染を確認して以降、累計で16人が同変異株に感染(15人は無症状)したが、感染エリアが港周辺に限られていたことや、6月6日以降の感染事例はなく、潜伏期間とされる14日間も過ぎたことから、収束を宣言した。塩田港は24日午前0時から運用を全面的に再開した。ほぼ1カ月ぶりとなる。

一方、6月14日には深セン空港の税関職員のデルタ(インド)型感染が確認されたことなどを受け、深セン市は21~23日に全市民のPCR検査を実施、その結果、全員が陰性だったと発表した。この深セン空港に関連した感染は25日午前0時時点で、深センで4例、東莞で3例が報告されており、市政府は防疫措置を引き続き徹底するとしている。

港周辺道路では貨物トラックの渋滞続く

塩田港は米国8路線、欧州2路線など国際路線13本を有する、中国華南地区最大のコンテナ貨物船の利用港で、中国の対米貿易貨物取扱量の約4分の1を占める。5月21日の感染発生以降、一時は1日当たりの取扱量が1万1,000TEU(20フィートコンテナ換算)と、平時の30%にまで落ちていた(2021年6月1日記事参照)。

当地の日系物流企業(6月25日にヒアリング実施)によると、6月7日の週には50%程度、14日の週には70%程度にまで回復し、24日の全面再開を受けて近々100%にまで戻るとみられている。ただ、25日時点では滞留貨物の全てはさばき切れていない状況にあり、依然として周辺道路は荷受け・荷出しするトラックで渋滞が発生しているという。

7月に入ると、クリスマス商戦向け貨物の海上輸送が本格化し始める。世界的なコンテナ不足の影響も継続しており、塩田港の混乱収束には、今しばらく時間を要するとの見方が多い。

(清水顕司)

(中国)

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