排ガス基準違反の車両、生産者にリコールを義務付け

(中国)

北京発

2021年06月03日

中国・国家市場監督管理総局および生態環境部は5月20日、「エンジン付き車両のリコール管理規定」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、車の生産者に国の大気汚染物質排出基準に違反する車両のリコールを義務付けた(注1)。同規定は7月1日から施行される。

車両のリコールに関しては、「欠陥自動車製品リコール管理条例外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(2013年1月1日施行)で規定されているが、同条例におけるリコール対象は、自動車製品の安全基準などの違反によるものに限られていた。国家市場監督管理総局の解説によると、「大気汚染防止法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」第58条に排出基準超過による車両のリコール制度を国が整備する旨が規定されており、今回の規定はその内容を具体化したかたちとなる。

同規定によると、設計や生産の欠陥あるいは環境保護の耐久性に関する要求を満たさないことによって、国家基準を上回る大気汚染物質を排出する危険性がある場合、車の生産者はリコールを実施しなければならない。国家市場監督管理局の解説によると、具体的には、次の3点の状況が発生する恐れがある場合に車両をリコールしなければならない。

  1. 設計・生産の欠陥により、基準値を超える大気汚染物質が排出される場合。
  2. 環境保護の耐久性に関する要求を満たさないことにより、基準値を超える大気汚染物質が排出される場合(注2)。
  3. 設計・生産面の原因により、その他の排出基準に違反するか、または不合理な排出が発生する場合(注3)。

同規定において言及されている排出基準とは、最新の排ガス基準「国6」レベルの国家標準である「軽自動車排ガス汚染物質排出制限値および測量方法」(GB18352.6-2016)と「大型ディーゼル車排ガス汚染物質排出制限値および測量方法」(GB17691-2018)となっている。なお、旧基準である「国5」対応車両については、2025年7月1日までは従来基準の「軽自動車排ガス汚染物質排出制限値および測量方法」(GB18352.5-2013)に準拠するものとした。

リコール義務に違反した場合には、市場監督管理部門が車の生産者、または経営者に対し、改善命令を行い、最高3万元(約51万円、1元=約17円)の罰金を科し、処分状況を社会信用システムに登録するとしている。

(注1)同規定においては、輸入販売者もエンジン付き車両の「生産者」とみなされる。「生産者」は、製品の設計、製造、排出検査、新車購入者などのデータを少なくとも10年間保存する必要がある。

(注2)環境保護の耐久性とは、正常な条件下と製品寿命の期間内において、完成車および汚染制御装置が耐久性試験で標準の規定を満たす限界値を指す。

(注3)「その他の排出基準に違反する場合」とは、汚染物質の排出基準を満たしていても、車載診断システム(OBD)、排出系統で使用するホースやその継ぎ目、電子制御システムなどの排出に関する標準の要求を満たしていない状況を指す。

(趙薇)

(中国)

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