成長続くエコシステムでのオープンイノベーション推進、ジェトロがセミナー

(ブラジル)

サンパウロ発

2021年06月10日

ジェトロは6月2日、「第3回オープンイノベーション塾」を開催した。この塾は、海外のスタートアップエコシステムの最新情報やスタートアップとのグローバルな協業をする際の「コツ」について情報提供するセミナー・ウェビナーシリーズ。

今回は「ブラジルスタートアップ企業とのオープンイノベーションの可能性-現地エコシステムと協業のこつ-」と題して開催。ジェトロと、ブラジル輸出投資振興局(Apex-Brasil外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、現地で活躍する日本人ベンチャーキャピタリストが登壇し、ブラジルでスタートアップが台頭する背景や、「新型コロナ禍」で急成長するスタートアップや12社のブラジル発ユニコーン企業を紹介した。また、現地スタートアップがブラジル企業や同国にある外国企業と行う協業事例などを説明し、ブラジルのスタートアップ市場やオープンイノベーションが活発化している現状を解説した。

Apex-Brasilの投資アナリストのジャイミ・ケイロス氏は、Apex-Brasilの各種支援ツールを通じて行われた国外からブラジルスタートアップへの投資実績やブラジルでのオ―プンイノベーションなどの協業事例を紹介した。

また、日本発スタートアップのブラジル進出支援やブラジルスタートアップに投資実績のあるブラジル・ベンチャー・キャピタル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(BVC)の中山充氏は、ブラジルは2億人以上の人口を有し、日本と比して豊富な資源があるブラジル市場はスケールメリットがあると強調。また、貧富格差のある社会でスタートアップ企業が生み出すIT技術がリープフロッグ(一足跳び)となり、社会課題解決につながっている事例を紹介した。これに対する世界の動きとして、著名な米国企業はブラジルを重要マーケットと捉えていることを強調し、さらに、ブラジルスタートアップへのベンチャーキャピタル(VC)投資額は2018年から2020年の3年間で9倍と増加しており、2021年も1月から4月までの間に2,500億円規模の投資があったと説明した。その上で、ブラジルは「大型新規公開株(IPO)による資金調達が可能となっているなど、スタートアップを支える魅力的な市場」と語った。また、中山氏はこれまでの経験から、ブラジルでビジネスを展開するには「まずは日本語の現地情報リソースを活用し、長期的視点で取り組むことが肝要」と締めくくった。

ジェトロは6月1日から、海外企業とのオープンイノベーション活動をサポートするサービス(注)を開始しており、海外との協業・連携に資する情報、例えば、現地主要エコシステムビルダーや有望スタートアップの情報など現地イノベーションエコシステムについて情報を提供している。

(注)ジェトロは既に、シリコンバレー(米国)、ロンドン(英国)、ヘルシンキ(フィンランド)、ベルリン・デュッセルドルフ・ミュンヘン(ドイツ)、パリ(フランス)、深セン(中国)の8拠点で対応しているのに加えて、6月1日から、新拠点としてトロント(カナダ)、サンパウロ(ブラジル)を追加。

(松平史寿子)

(ブラジル)

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