全国統一の排出権取引市場、6月末までに取引開始の見通し

(中国)

北京発

2021年06月03日

中国・生態環境部は5月26日の記者会見で、全国統一の温室効果ガス排出権取引市場が6月末までに取引を開始する見通しを明らかにした。同部の劉友賓報道官は、取引に関するシミュレーションと資金テストを完了し、取引開始に向けた各種の準備を着実に進めていると説明した。また、全国で取引対象となる排出量は40億トンを超えるとし、中国が世界最大の排出権取引市場になる見通しを示した。

中国は2011年以降、北京市、上海市、天津市、重慶市、湖北省、広東省、深セン市の7つの省・市において、排出権取引モデル事業を進めてきた。生態環境部気候変動対応司の李高司長の発言によると、2021年3月までに、20以上の産業にわたる3,000社近くの重点排出企業が対象となり、累計取引量は4億4,000万トン、累計取引額は104億7,000万元(約1,780億円、1元=約17円)になった。

全国統一の排出権取引市場のスタートを控え、生態環境部は関連する法令の整備を進めている。2020年12月には「温室効果ガス排出権取引管理弁法(試行)」を公布し、2021年2月から実施した。同弁法は、各レベルの生態環境主管部門と企業など市場参入主体の責任、権利、義務を定め、排出権の割当、登録、取引、決算、報告、検査、監督管理などについて明確化した。また、同弁法の発表と同時に、電力産業における「2019~2020年における全国排出権の割当総量設定・配分実施案」と対象になる2,225社の重点排出企業リストが公布された。

さらに、生態環境部は、「温室効果ガスの排出報告に対する検査ガイドライン(試行)」「排出権の登録管理規則(試行)」「排出権の取引管理規則(試行)」などを相次ぎ発表し、温室効果ガスの排出報告、検査、割当の明確化を進めている。

中国は、2030年までに二酸化炭素(CO2)の排出量をピークアウトさせ、2060年までにカーボンニュートラルの実現を目指すと宣言している。全国統一の排出権取引市場の全体設計専門家チームの責任者である清華大学エネルギー環境経済研究所の張希良所長は、炭素の価格付けによって排出削減を促す機能を最大化するため、排出権取引の対象業種を早期に拡大させる必要があるとし、電力産業のほか、今後、セメント、電解アルミ産業も取引対象に加えるように努力すると述べた。また、排出権取引市場の排出総量設定を排出のピークアウト、カーボンニュートラルに向けた排出総量規制とリンクさせる必要があるとコメントした(「北青網」2021年4月18日)。

(張敏)

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