タイ政府、EUとのFTA交渉再開を目指す
(タイ、EU)
バンコク発
2021年06月22日
タイ貿易交渉局(DTN)のプレスリリースによると、ジュリン・ラクサナウィシット副首相兼商務相は6月14日、ピルカ・タピオラ駐タイEU大使と会談し、タイ・EU間自由貿易協定(FTA)交渉の再開などについて議論した。会談の概要は以下のとおり。
- WTOに関する問題:多国間貿易システムの推進において、WTOが重要な役割を果たすべきという点で合意した。また、迅速な紛争解決のため、WTO上級委員会の委員再任を早期に完了させるべきという認識や、漁業補助金に関する交渉加速と早期妥結、環境に優しい貿易の促進についても合意に至った。
- タイEU・FTAの締結:EUとのFTAの推進は、タイ政府の方針となっている。FTA締結に向けた公式協議を再開するため、EU加盟国による検討・承認に向けた共同合意文書を起草する。タイは、シンガポール、ベトナムに続き、ASEAN加盟国として3番目にEUとFTAを締結することを目指す。FTAが実現すれば、EUとの間で貿易投資の拡大が期待できる。
- 新型コロナウイルス・ワクチンに対する強制実施権(CL、注)政策の導入:ワクチンがCLの対象となれば、多くの国でワクチンを入手する機会が増える。2021年11月に開催されるWTO閣僚会議でも議題に取り上げられる。
- 2021年7~12月に開催されるタイの見本市に、EU企業を招聘(しょうへい)する。見本市には、タイ産の食品、果物、飲料、医療機器、電気製品、ゴム・ゴム製品といった商品が展示され、タイの輸出業者とEUの輸入業者との間で、オンラインビジネスマッチングが行われる。
DTNによると、EU(27カ国)は、ASEAN、中国、日本、米国に次ぐタイの5番目の貿易相手だ。2020年のタイとEUの貿易総額は331億3,390万ドルで、タイの貿易総額の7.6%を占める。タイからEUへの輸出額は176億3,714万ドルに上る。EUへの主な輸出品目は、コンピュータ・同部品、宝石・貴金属、ゴム、鶏肉加工品、コメなど。EUからの主な輸入品目は、機械、化学品、医療製品・医薬品などだ。
(注)一定要件を満たして、当局に申請し、認められれば特許権者の事前承諾を得ることなく、特許技術を使うことができること。
(シリンポーン・パックピンペット、北見創)
(タイ、EU)
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