中国アリババクラウド、2021年内にデータセンターをマニラに設置へ

(フィリピン)

マニラ発

2021年06月16日

中国のEコマース大手アリババのクラウドコンピューティング事業部門アリババクラウドは6月8日、2021年内にデータセンターをマニラに設置する見込みと発表した(政府通信社2021年6月8日付)。同社にとって、フィリピンで初めてのデータセンターとなる。データセンターでは、エラスティックコンピューティング(注)やデータベース、情報セキュリティー、データ処理・解析などのサービスを提供する予定だ。

アリババクラウドがフィリピンへのデータセンター設置を行う理由として、フィリピン企業の事業のデジタル化を推進する上で、クラウドコンピューティングの導入が重要な役割を果たしていることを挙げている。同社は主にフィンテックや、Eコマース、教育、メディアなどの分野のフィリピン企業に対してクラウドコンピューティングのサービスを提供し、これら企業の生産性を高めていく意向だ。また、優秀な技術者を多く輩出する人材プールとしてフィリピンを位置付けており、フィリピンで5万人のIT技術者の育成も計画している。

アリババクラウドは世界21の地域にサービス展開をしており、アジア大洋州地域では、シンガポール、マレーシア、インドネシア、インド、オーストラリアに拠点を有する。同社は今後3年間で同地域に10億ドルを投資し、人材育成を行うとともに、10万社の技術系スタートアップの成長をサポートすることを目指す(「ビジネスワールド」紙6月10日)。

2020年から新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、フィリピンではサービスのデジタル化が急速に進展している。その一例として、米グーグルなどの調査PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、新型コロナ禍によって消費者のデジタルサービスに対する需要が高まり、2020年のEコマース市場は前年比50%増の40億ドルに成長した。また、同調査では、フィリピンのEコマース市場は2020年から2025年までに年平均で31%成長すると予測する(2021年2月16日付地域・分析レポート参照)。

(注)エラスティックコンピューティングとは、サービス利用者のニーズに応じて、柔軟に仮想サーバー環境を提供するコンピューティングサービスを意味する。

(吉田暁彦)

(フィリピン)

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