大連市で日中水素産業セミナー・交流会を開催

(中国)

大連発

2021年06月09日

ジェトロは6月4日、大連市で大連創新創業創投センターと共催で日中水素産業セミナー・交流会を開催した。冒頭あいさつに立った大連市の張志宏・副市長(科学技術分野担当)は、同市が水素エネルギー関連産業の重要部材や技術領域で国内トップレベルにあり、日本企業との連携も積極的に図りながら、国策であるカーボンニュートラルの実現に貢献したいとの考えを示した。

本セミナーで講演した大連市発展・改革委員会の顧在浜・副主任は、燃料電池車の普及を促進するため、市政府として水素エネルギー産業発展基金を設立する計画を明らかにした。燃料電池バスや大型トラックの大量導入を後押しする燃料電池車リースプロジェクトを推進し、産業チェーンに関わる企業の運営コストを引き下げるという。顧副主任は、2025年に水素燃料電池車の生産能力を1,000台規模、水素ステーションを15カ所以上設置することを目標とすると説明した。

大連市の産業界からは、2021年4月に設立された大連市水素産業発展促進協会の常務副会長を務める、新源動力(注)の劉常福氏が講演した。同氏は「中国科学院大連化学物理研究所が中国における燃料電池技術開発のパイオニアで、技術人材も豊富」と述べ、同研究所によって、水素の製造、輸送、供給インフラを支えるキープレーヤーと燃料電池車に関わるメーカーによる産業チェーンが構築された、と紹介した。大連市水素産業発展促進協会には、燃料電池システム関連企業や水素製造企業のほか、先述の研究所や大学などの研究機関、また水素ステーション建設・運営、水素輸送・貯蔵、FCV(燃料電池自動車)部品メーカー、完成車メーカーなど38社・機関が名を連ねている。

セミナー後の交流会に参加した日系企業からは「中国では水素産業に関して企業情報やプロジェクト情報が不足しているため、今後も具体的なビジネスにつなげるための情報収集を継続したい」との声が聞かれた。

(注)新源動力は、2001年に大連物理化学研究所によって設立され、燃料電池スタックの開発に取り組んできた企業。

(重岡純)

(中国)

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