米連邦通信委、中国通信関連5社への認証を禁止する規則案発表
(米国、中国)
ニューヨーク発
2021年06月23日
米国連邦通信委員会(FCC)は6月17日、安全保障上リスクがあると認めた製品・サービスに対する認証を禁止する規則案を発表した。今後、正式に官報で公示し、パブリックコメントを募集した上で、最終的な規則案を策定していく。
FCCは、米国内で使用される無線周波数機器が無線通信に有害な影響を及ぼさないよう、それらが販売または輸入される前に、FCCの技術的要求などを満たしているかの認証を行う権限を有している。今回の規則案では、その認証過程で、FCCの公安・国土安全保障局(PSHSB)が国家安全保障と米国人の安全に容認できないリスクをもたらし得ると指定した「対象機器・サービス(Covered Equipment or Services)」に対して、認証を与えないことを提案している。「対象機器・サービス」のリストに現在指定しているのは、中国の華為技術(ファーウェイ)、中興通訊(ZTE)、ハイテラ、ハイクビジョン、ダーファの5社による製品・サービスのみとなる。ただし、同リストはPSHSBの判断で常に更新される可能性がある。
FCCはこれまでにも、米政府の補助金を受ける企業に対して、こうしたリスクのある企業との契約を禁止する規則を出していた(2019年11月25日記事参照)。しかし、それだけでは不十分として、連邦議員が超党派でリスクのある企業の製品・サービスの国内使用を全面的に禁止するようFCCに指示する法案を提出するなど、規制の抜け穴を防ぐ動きが出ていた。
FCCは官報で規則案を公示した後、パブリックコメントを30日間募集し、それらのコメントへの返答については60日間募集するとしている。FCCはコメントを基に最終規則案を策定するが、時期的なめどは示していない。FCCは規則自体への是非に加えて、重点的にコメントを求めるその他の点につき、次の項目を挙げている。
- 認証手続きの例外を定めている規則について、「対象機器・サービス」の例外は認めないよう改正すべきか。
- 「対象機器・サービス」のうち、既に認証を与えているものについて、それを取り消すべきか。その場合、どの認証をいかなる手続きで取り消すか。
- 周波数オークションについて、安全保障上脅威となり得る参加者を排除すべく、新たな認証制度を設けるべきか。
FCCのジェシカ・ローゼンワーセル委員長代行は「規則案策定とコメント募集を開始できたことを喜ばしく思う」との声明を出している。
(磯部真一)
(米国、中国)
ビジネス短信 77665aa9cb63d429