「ビバ・テクノロジー」、リアルとオンラインのハイブリッドで2年ぶり開催、日本ブースも

(フランス、日本)

パリ発

2021年06月24日

欧州最大のオープンイノベーションの祭典「ビバ・テクノロジー2021」が6月16~19日に開催された。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、パリでのリアルイベント(会場:ポルト・ド・べルサイユ)とオンライン形式のハイブリッドで実施され、会期の4日間を通じて約14万人が参加した。リアルイベントには、会場内の人数を5,000人未満とする入場制限が設けられた中、延べ約2万6,000人が来場した。

13社の日本発スタートアップがオンライン出展

ジェトロは、日本のスタートアップの海外展開支援のため、東京都の主催事業である海外進出プラットフォーム「X-HUB TOKYO OUTBOUND PROGRAM」の一環で欧州展開を目指すスタートアップの出展サポートとして、日本ブースを開設した。ブースには、ロボティクスやモノのインターネット(IoT)、人工知能(AI)、ヘルステックなどの分野で国内外から注目されているスタートアップ13社がオンライン参加した。参加企業には、スタートアップ評価額ランキング上位の企業も含まれており、各社は日本ブースを通じて最新の技術を発信。各社は新型コロナ下でもオンラインを駆使し欧州展開を目指している。

日本ブース出展企業のTBMは、石灰石から作る革命的新素材「LIMEX」を開発する日本が誇るユニコーン企業の1つだ。今回は欧州企業とのコネクション形成、「LIMEX」の認知向上が目的。同社海外事業部シニアリーダーの蘭園氏は「海外渡航が制限される中、世界中の企業とつながれる貴重な機会となった」「ビバ・テクノロジーに参加したことにより、環境配慮型素材と最新テクノロジーを融合した新たな事業展開の可能性が生まれることを期待している」と話した。

また、数万人の音声データベースを基に、喜怒哀楽や気分の状態を独自のアルゴリズムで判定するプログラムを開発するJ-Startup企業(注1)のエンパスは、新型コロナ危機以前の平常時はビバ・テクノロジーをはじめ海外で開催される展示会には全て現地で参加していたという。今回のオンライン出展に関して、同社セールスマネジャーの千葉美帆氏は「現場ならではの臨場感を得ることはできないものの、オンラインだからこそ効率よくビジネスミーティングができ、今後の海外展開の選択肢の1つとしてオンラインブースの活用は期待できる」と述べた。オンライン上のセッション配信に加えて、他国のスタートアップや大企業ブースにアクセスし、気軽にメッセージを送って会話できる点がメリットと感じたという。

日本発スタートアップの海外展開支援を協働、オレンジ・ファブ・アジアとジェトロで覚書締結

「ビバ・テクノロジー2021」参加の機会を捉え、ジェトロとオレンジ・ファブ・アジアは、日本のスタートアップの海外展開支援をより緊密に連携して行うべく、6月14日にパリで覚書(MOU)を締結した。オレンジ・ファブ・アジアは、フランス大手電気通信オランジュ・グループ傘下で、日本をはじめアジアのスタートアップ支援プログラムを運営している。今回のMOUにより、オレンジ・ファブ・アジアが選抜し支援する日系スタートアップへのビジネスマッチングやメンタリングなどの企業支援をジェトロの「グローバル・アクセラレーション・ハブ事業」(注2)で補完することで、日系スタートアップ企業の海外展開サポートを一層強化する。ジェトロ・パリ事務所にとって民間企業との覚書締結はこれが初めてのケースとなる。

写真 ビバ・テクノロジー2021の会場(ジェトロ撮影)

ビバ・テクノロジー2021の会場(ジェトロ撮影)

写真 オランジュ・ジャパンのイブト(Yvetot)CEOとジェトロ・パリ事務所の武田家明所長によるMOU締結式(6月14日、パリでジェトロ撮影)

オランジュ・ジャパンのイブト(Yvetot)CEOとジェトロ・パリ事務所の武田家明所長によるMOU締結式(6月14日、パリでジェトロ撮影)

(注1)経済産業省が推進するスタートアップ企業の育成支援プログラム。

(注2)日系スタートアップ企業の海外ビジネス展開を支援するジェトロの事業。

(遠藤朋美)

(フランス、日本)

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