第1四半期GDP成長率は前期比2.8%、EU加盟国内で最大の伸び率に

(ルーマニア)

ブカレスト発

2021年06月04日

ルーマニア統計局(INS)は5月18日、2021年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(季節調整済み)を前期比2.8%と発表した。非常事態宣言下の2020年第2四半期にマイナス11.8%を記録して以降、3期連続でプラス成長を維持している。前年同期比では0.0%となり、前年同期とほぼ同水準に回復した(添付資料表参照)。

EU統計局(ユーロスタット)が同日に発表した加盟各国の2021年第1四半期の実質GDP成長率では、ルーマニアが最大の伸び率を記録した(注)。

金融アナリストは、予測よりINSの発表値の方が高かったことから、ルーマニア経済を肯定的に捉えている。2021年通年のGDP成長率をこれまで3~4%と予測していたエコノミストらは、この発表を受けて6~7%以上に達するとの見方を示した(「ジアルル・フィナンチアル」5月20日)。

3月の消費者ローンの新規実行額は25億レイ(約675億円、レイは通貨単位レウの複数形、1レウ=約27円)、3月の住宅ローンの新規実行額は17億レイを超え、いずれも月間実行額で14年ぶりの高い金額を示した。住宅ローンの第1四半期の実行額43億レイは、前年同期比で27%増と増大した。一方、大手経済紙「ジアルル・フィナンチアル」は5月24日の社説で、このようなGDP成長率の大幅な上昇は、財政赤字、貿易赤字、政府債務残高の拡大をもたらす、と警戒感を示している。自国通貨レイの対ユーロ為替レートは現時点で1ユーロ=4.92レイだが、2021年末にかけて通貨安が進み、1ユーロ=5レイを超える可能性もある、としている。通貨安が輸入品価格を上げ、全体的に物価が上がり、4月の消費者物価上昇率は前年同月比3.2%だが、2021年通年で4.1%に達する、とルーマニア国立銀行(中央銀行)は予測している。

なお、GDP成長率の内訳は6月8日に発表される予定。

(注)EU統計局(ユーロスタット)のプレスリリースでは、エストニア、アイルランド、ギリシャ、クロアチア、ルクセンブルク、マルタ、スロベニアの2021年第1四半期のデータは発表されていない。

(ミンドル・ユニアナ、西澤成世)

(ルーマニア)

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