コンテナ不足は解消に向かうも、海上輸送費の高騰や混乱続く

(インドネシア)

ジャカルタ発

2021年06月01日

「新型コロナ禍」の中で顕著になっている世界的なコンテナ不足と海上輸送費の高騰(2020年12月15日記事参照)について、ジェトロがインドネシアの海運・物流会社にヒアリングした結果、コンテナ不足は解消されつつあるものの、世界的な海上輸送網の混乱により海上輸送費は依然として高騰、船便の予約も不安定な状況にあることが、5月28日までに分かった。

ジェトロは5月22日から28日にかけて、複数の在インドネシア日系海運・物流企業にヒアリングを実施した。コンテナ不足に関して、前回(2021年1月)のヒアリングでは、長期化を懸念する声が聞かれたが(2021年1月27日記事参照)、今回のヒアリングでは、各社とも収束に向かっているという見解だった。例年、輸入量が急増する断食明け大祭(レバラン、2021年は5月13、14日)に輸送が逼迫すると懸念されたが、船会社が事前に準備していたこともあり、実際に大きな混乱は発生しなかったという。船便の予約は、欧米向けが港湾の混雑に伴う船の滞留やコンテナ需給の問題により不安定な状況となっており、航空便での対応を迫られる企業もあるとのこと。スケジュールに関しては、アジア域内でもいまだに遅延が発生しているとの声が聞かれた。

海上輸送費の世界的な上昇によって、アジア発の貨物の運賃も上昇している。世界の主要コンテナ船航路運賃の加重平均であるフレイトス・バルチック国際コンテナ指数(FBX)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、40フィートコンテナ1個当たりの価格として5月21日に5,061ドルを記録。前年(2020年5月22日)のFBX(1,471ドル)と比較すると3.4倍になった。海運・物流企業へのヒアリングから、北米向けはプレミアム料金で受託する船会社が多く、スペース確保も難しい状況にある。日系海運企業A社は「ジャカルタ(タンジュンプリオク)発、米国ロサンゼルス(ロングビーチ)着の40フィートコンテナ1個につき、1月は5,000~6,000ドルで手配できていたが、5月は8,000~9,500ドル(プレミアム料金)が相場」と話す。

在インドネシア日系自動車部品メーカーはジェトロのヒアリングに対し「世界的には、海上輸送費の高騰に加え、原材料費も上昇しており、コスト増が避けられない状況」と懸念を示した。

(上野渉)

(インドネシア)

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