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欧州製薬業界、新型コロナワクチンの知的財産権保護を求める

(EU)

ブリュッセル発

2021年06月10日

欧州製薬団体連合会(EFPIA)は6月4日、ワクチンを製造する12企業が参加する「ワクチン・ヨーロッパ」とともに声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、EUがWTOに同日提出した文書(2021年6月7日記事参照)で途上国への新型コロナウイルスワクチン普及には企業間の自発的なライセンス合意が最善としたことに賛同する一方で、強制実施権の行使を選択肢の1つに挙げたことに深い懸念を示した。

EFPIAは新型コロナワクチンについて、全世界で既に約300件の生産や流通、技術移転に関する自発的なライセンス契約が締結されており、2021年末までに世界の全成人への接種完了に十分な約110億回分を生産できる見込みとした。そのため、知的財産権を保護することは研究開発や生産、さらには企業や研究機関の協力体制の構築の妨げになってはいないと主張。特許放棄や強制実施権の行使ではなく、貿易や既存施設への原材料供給面の障壁の撤廃や、生産国で余剰となっているワクチンの共有を進めることで、途上国へのワクチンの公正な分配に対処すべきだとした。また、製薬業界の「新型コロナ危機」後の長期的なレジリエンス(回復力)を支える活発な研究開発活動を生み出すためにも、強固にかつ開発者にとって予見可能なかたちで知的財産権が保護されることが必要だと訴えた。

ワクチン輸出制限の抑制も歓迎

EFPIAはかねて輸出制限に対する懸念を示しており(2021年3月25日記事参照)、実際、ワクチンの輸出制限によってグローバルサプライチェーンに影響が出たとして、EUが輸出制限を抑制的に行うと誓約したことを歓迎した。その上で、WTO加盟国は輸出制限を控え、仮に制限措置を実施するとしても、期間を限定した上で透明性を確保し、輸出国と輸入国の疫学的状況やワクチン接種率などを考慮する「比例性」に基づいたものとすべきだとした。また、EUがワクチン輸出に当たって通商や規制に関連する障壁の完全撤廃や、生産に必要な技術支援が可能な人材が必要な地域に優先的に配備するだけでなく、国をまたいだ主要原材料やワクチンなどの供給の円滑化や迅速化につながる政策を提案したことも、EFPIAは歓迎した。

さらに、EFPIAは、製薬業界は安全性と品質に妥協することなく、これまでも大量生産が可能な提携先と協力するなどして新型コロナワクチンの生産量の増加に取り組んできたが、EUが示したさらなる生産拡大に向けた取り組みへの支持も表明した。

(滝澤祥子)

(EU)

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