2021年第1四半期の実質GDP成長率、前期比マイナス0.5%

(スイス)

ジュネーブ発

2021年06月04日

スイス連邦経済省経済事務局(SECO)は6月1日、2021年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率を前期比マイナス0.5%と発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した(添付資料表参照)。新型コロナウイルス感染対策の強化によって個人消費が縮小した一方で、製造部門の力強い回復によりGDPの縮小幅は抑えられ、2020年春のような経済低迷は繰り返されなかった。

第1四半期のGDPを需要項目別にみると、個人消費は前期比3.3%減と大きく縮小した。ホスピタリティ・レジャーサービスへの支出が低迷した一方、食品や電子機器などに対する需要は大きかった。政府消費支出は1.2%増となり、成長を支えた。また、固定資本形成のうち、建設投資(0.1%増)は微増にとどまり、設備投資(0.4%減)は過去2四半期のプラス成長からマイナスに転じた。内需は1.8%減だった。サービス貿易は輸出(5.2%減)、輸入(3.2%減)ともに大きく縮小した。財の貿易は輸出(1.5%増)、輸入(1.7%増)ともに増加した。

産業別にみると、レストランが引き続き閉鎖され国外旅行が停滞する中、宿泊・飲食サービス(前期比30.4%減)は前期からさらに大きく落ち込んだ。芸術・娯楽・レクリエーション(5.1%減)も行動制限措置の影響を受けて前期に続いて減少した。また、予定されていた治療の延期などにより医療・介護(3.0%減)も減少し、国内移動の低下を反映して輸送・通信(0.9%減)も減少した。サービス部門で増加したのは金融(1.6%増)と行政(0.7%増)のみで、サービス部門全体の付加価値は大幅に低下した。対照的に、製造業(4.9%増)は米国や中国などの主要貿易相手国の需要増加に支えられて伸び、化学・医薬品など経済動向が反映されやすい分野が寄与した。時計製造・精密機器、機械・金属などの輸出産業も回復が続き、製造業が第1四半期のGDP成長率の減少幅を抑えるのに貢献した結果となった。

(竹原ベナルディス真紀子)

(スイス)

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