地域圏・県議会選の決選投票、急進右派の国民連合が敗退、大統領与党も苦戦

(フランス)

パリ発

2021年06月29日

フランスで6月27日、地域圏・県議会選挙の第2回(決選)投票が行われた。内務省の同日午後5時時点の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、投票率は27.89%で、2015年の前回の地域圏議会選挙の50.54%を大きく下回り、国民の強い政治不信を裏付ける結果となった。

本土の12地域圏でいずれも現職議長が再選を果たし、7つの地域圏で右派の共和党系、5つの地域圏では左派の社会党系が勝利した。エマニュエル・マクロン大統領の与党・共和国前進は8つの地域圏で現職閣僚など独自の候補を立てて決選投票を争ったが、このうち7つの地域圏で得票率は最下位に終わった。地方での基盤づくりに苦戦する同党の姿が浮き彫りになった。

急進右派の国民連合はプロバンス・アルプ・コートダジュール地域圏の第1回投票で共和党の現職を抑えてトップで通過したが(2021年6月23日記事参照)、決選投票では他の政党が反国民連合で共闘した結果、得票率は42.70%と、共和党出身の現職議長(57.30%)に大敗を期した。その他の地域圏でも結果は振るわず、2015年の前回選挙に比べても各地域圏で得票率を落とした。国民連合のマリーヌ・ルペン党首は同日夜、地域圏議会選挙での党の敗北を認めつつ、2022年の次期大統領選では、新たな政治体制の構築に向け政権交代を目指すとの決意を述べた。

伝統的に国民連合の支持基盤が強いオー・ド・フランス地域圏では、右派で既に大統領選への立候補を表明している現職のグザビエ・ベルトラン議長が、国民連合、環境左派の候補を抑え、52.37%の高い得票率を得て再選を果たした。

今回の結果を受け、ベルトラン議長は6月27日付「レゼコー」紙で次期大統領選はマクロン大統領、ルペン党首と自身の3人の戦いになると述べた。国民連合の求心力低下を背景に、国民連合に代わる政権批判の受け皿として得票を狙う考えを示した。

ニュース専門局BFMTVが6月25、26日に実施した世論調査によると、ベルトラン議長の支持率は18%となり、今のところ24%で肩を並べるマクロン大統領とルペン党首に差をつけられている。

(山崎あき)

(フランス)

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