広東省、新型コロナウイルス感染拡大で港湾物流に大きな影響

(中国)

広州発

2021年06月10日

中国・深セン市では新型コロナウイルス感染拡大に伴い、物流への影響が深刻化している。同市では5月31日に塩田港の輸出コンテナの受け入れを一部再開した(2021年6月1日記事参照)が、6月6日までとしていた「ETA」3日前かつ事前に予約申請したコンテナのみ受け入れる措置を7日以降も継続している。

日系物流企業によると、6月8日時点で塩田港に入れない「沖待ち」の船舶が40~50隻以上になるという。これに対し、輸送会社が独自に近隣の経由地(上海や香港など)へ寄港地変更を行い、塩田港を抜港したため塩田港への寄港本数が減り、状況は改善に向かいつつある。ただ、もともと塩田港に寄港予定だった本船が寄港地変更することで、予約していたコンテナが予定本船に搭載できないなどの混乱も発生している。

広州市南沙区では6月4日に感染者が確認されたことにより、6月5、6日に南沙区を通る全ての高速道路、高速鉄道、港が封鎖された。封鎖は7日午前0時に解除されたものの、塩田港で引き受けられない貨物を引き受ける南沙港は、貨物増加に加え、交通封鎖により港に入場するトラックの渋滞、コンテナの滞留が深刻化しているという。

物流業者への影響も出ている。南沙港ではドライバーが港へ入場する際、グリーン健康コードや72時間以内のPCR検査陰性証明の提示が必要となる。省外への移動の場合は48時間以内のPCR検査証明の提示が求められるため、対応可能なドライバーが減り、車両確保が厳しくなっている。そのほか、輸送費用の値上がりや港湾荷役の遅延、コンテナ引き取りの長期化などによる影響で、スケジュール変更を余儀なくされている。

(田中琳大郎)

(中国)

ビジネス短信 20cffdd6e0992d3f