外国のインターネットサービス大手に拠点設置を義務付ける法案採択

(ロシア)

サンクトペテルブルク発

2021年06月24日

ロシア連邦下院(国家院)は6月17日、ロシアにおける1日当たりのユーザー数が50万件を超える外国のインターネットサービス運営会社に対し、ロシア国内に法人・支店・駐在員事務所のいずれかの設置を義務付ける法案を採択した。法令を順守しない場合には、該当企業によるロシア国内の個人や企業向けのオンラインサービスが遮断される恐れがある。

該当する外国企業への拠点設置義務は2022年1月1日以降に課される。これに加え、ロシアで規制しているコンテンツがオンラインサービス上に掲載・配信された際の対処(注)も求められる。国境を越えて活動する外国の巨大インターネット企業に対して、ロシアの法令順守を求めることが目的だ。この法案を起草した下院情報政策・情報技術・通信委員会のアレクサンドル・ヒンシュテイン委員長は法案の対象となる可能性のあるサービスは20件に上るとしている(添付資料表参照)。法案は連邦上院(連邦院)による審議を経て、大統領が署名すれば発効する。

違反企業への罰則については、広告配信の制限やサーチエンジン上での検索結果表示からの除外、ロシア国内のユーザーからのアクセス遮断などが法案に明記されている。ヒンシュテイン委員長は罰則を科す前に企業に対して複数回の警告を行うと述べている(「タス通信」5月28日)。

外国企業にとって今回の規制順守は容易ではないとの声が上がっている。法律事務所フォワードリーガルのスタニスラフ・ボロダエフ弁護士は、米国の証券取引所に上場しているIT企業がロシアに拠点を設立する場合、米国当局の認可を要するとし、対応には多大な時間と労力がかかると指摘している(「ベドモスチ」紙5月23日)。

国境を越えてインターネットサービスを提供する大手企業への規制強化は欧州でも議論が行われている(2021年5月20日付地域・分析レポート参照)。

(注)具体的にはアクセス制限や削除などを行うことが必要となる。

(一瀬友太)

(ロシア)

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