ドイツの復興・レジリエンス計画、欧州委員会の審査が完了

(ドイツ、EU)

ベルリン発

2021年06月28日

EUの復興基金を活用した「復興レジリエンス・ファシリティー(RRF)」(2020年9月24日付地域・分析レポート参照)の予算を利用するため、ドイツ連邦政府が欧州委員会に4月28日に提出していた「ドイツ復興・レジリエンス計画(DARP)」(2021年5月10日記事参照)の審査PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が、6月22日に完了した。

DARPの総額は279億ユーロ、そのうち256億ユーロをRRFの資金から充当する。2026年までに重点分野への投資や改革措置導入などの実施に同資金を活用し、新型コロナウイルス危機からの回復を図る。今後、EU理事会(閣僚理事会)の承認手続きが4週間以内に行われた後、7月には総額の8.7%に相当する23億ユーロの資金提供が見込まれる。

欧州委員会は、RRFの柱である気候変動対策とデジタル化について、DARPでは42%が気候変動対策に、52%はデジタル化支援策に該当すると評価した。気候変動対策として「グリーン化への移行(Green Transition)」)を推進する主な施策は、グリーン水素への投資(15億ユーロ)、電気自動車(EV)購入補助金(25億ユーロ)、住宅のエネルギー効率を向上させる大規模改修補助金(25億ユーロ)などが盛り込まれている。また、「デジタル化への移行(Digital Transition)」)分野では、マイクロエレクトロニクスと通信技術への投資(15億ユーロ)、次世代クラウドインフラとサービスの導入(7億5,000万ユーロ)、公共サービスのデジタル化(30億ユーロ)が含まれる。このほかに、ドイツ経済と社会の基盤を強化するプログラムとして、病院の近代化(30億ユーロ)、保育施設の拡充(5億ユーロ)や、社会的に弱い立場にある子どもに対する教育支援プログラムも網羅されている。

また、欧州共通利益に適合する重要プロジェクト(IPCEI)の枠組みを活用した水素、マイクロエレクトロニクス、クラウドインフラとデータ処理の分野におけるドイツの投資プロジェクトには、全ての加盟国が参加できることなどが評価された。

欧州委員会のDARPに対する評価を受けて、アンゲラ・メルケル首相は、RRFからの資金は「市民に大きな利益をもたらす」と述べた。

(中村容子)

(ドイツ、EU)

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