WHO、シノバックのワクチンの緊急使用を承認、中国製では2例目

(中国)

北京発

2021年06月09日

世界保健機関(WHO)は6月1日、中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製の新型コロナウイルスワクチンを緊急使用リストに追加した。これにより、新型コロナウイルスワクチンの公平な配分を目指す国際的な枠組み「COVAXファシリティ」でも、今後、シノバック製ワクチンが使用可能となる。

今回、シノバック製のワクチンが承認されたことで、WHOの緊急使用リストに入った中国製ワクチンは2例目となった。1例目のシノファーム傘下の中国生物技術北京生物製品研究所のワクチンは5月7日にWHOの緊急使用承認を受けており、同社は「COVAXファシリティ」に提供するワクチンの量産を開始した(「環球時報」6月1日)。5月26日に、米国医師会が発行する臨床雑誌「JAMA」で初公表された最終治験データ報告によると、同研究所が開発したワクチンの有効性は78.1%となっている(注1、「環球時報」5月26日)。

このほか、製薬大手の上海復星医薬(集団)(上海市)は5月9日、ドイツのバイオ医薬品メーカー、ビオンテックが手掛ける「メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン」を中国で生産すると発表した(「人民網」5月9日)。

中国におけるワクチン接種による副反応の状況については、中国疾病対策予防センターが5月28日に初めて発表した。発表によると、副反応の報告総数は3万1,434件、接種10万回当たりでは11.86件で、発熱や腫れなどの一般反応が83%を占めた。それ以外の異常反応(5,356件)の内訳は、アレルギー性発疹が3,920件、アナフィラキシーが75件などだった。異常反応の中で、重篤なケースは188件だった。

中国では、ワクチン接種ペースが加速し、接種対象者の範囲も拡大される見通しだ。中国の新型コロナウイルスのワクチン接種回数は6月2日時点で計7億回を超えた。国家衛生健康委員会によると、1億回の接種に要する日数は、当初の25日間から5日間(6億回接種から7億回接種までに要した日数)にまで短縮された(「北京日報」6月6日)。中国疾病予防コントロールセンターの馮子健副主任は6月2日、60歳以上に対する接種が一通り完了した段階で、接種対象を18歳未満にも広げる方向で検討していることを明らかにした(注2)。

(注1)同じくシノファーム傘下で、中国において当局から条件付き承認を得ている中国生物技術武漢生物製品研究所のワクチンの有効性は72.8%だった。

(注2)中国におけるワクチン一般接種の対象年齢は当初18~59歳だったが、その後60歳以上にも拡大された。

(趙薇)

(中国)

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