上海で初の仮想発電所、スマート節電でCO2排出削減

(中国)

上海発

2021年05月13日

中国の送電大手の国家電網は5月6日、上海市でリアルタイムで正確な電力消費状況の制御を通じたスマート節電・炭素排出削減活動を中国国内で初めて実施し、節電によって電力余剰を生み出す「仮想発電所(バーチャルパワープラント、VPP)」の取り組みを発表した。

具体的には、上海市の都市部で1日の電力需要がピークを迎える午後2時に、電力需給を管理する上海市電力需給呼応センターが取り組みに参加した工業関連企業やオフィスビル、充電ステーションなど1万1,536カ所の施設の電力使用状況に基づき、利用者に支障が出ない範囲で不要と見なす設備の稼働を一時的に停止するなどの節電措置を行った。上海市閔行区のオフィスビルでは、エアコンや給水ポンプ、エレベーターが自動で停止し、地下駐車場の照明も部分的に消灯された。

上海市電力需要呼応センターの鄭慶栄主任は「今回の15万キロワットの節電は、最大で40トンの炭素排出削減につながる。仮想発電所は土地や燃料も必要なく、資源の総合的な利用効率を高めることができた」と述べた(「新民晩報」5月8日)。

中国政府が掲げる2060年のカーボンニュートラル目標(注)を意識した取り組みだと考えられ、今後も中国各地で同様の取り組みが行われ、省エネルギーや炭素排出削減に関する活動が広がるとみられる。

(注)中国政府は二酸化炭素(CO2)排出量を2030年までに削減に転じさせ、2060年までに排出実質ゼロとすることを目指す。

(侯恩東)

(中国)

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