新型コロナの感染高リスク国・地域からの、就労パス保持者の入国を規制

(シンガポール)

シンガポール発

2021年05月11日

シンガポールは5月11日から、日本を含む新型コロナウイルスの感染リスクの高い国・地域からの、外国人の就労パス保持者の入国規制を強化した。新たな規制は、各国での変異株を含め新型コロナウイルス感染の再拡大を受けてのもので、感染の高リスク国・地域からの外国人就労パス保持者からの入国の新規申請の受け付けを、一部の戦略プロジェクトとインフラ工事に必要な外国人労働者を除き、停止する。

人材省によると、感染リスクの高い国・地域とは5月7日付で、オーストラリア、ブルネイ、中国、ニュージーランド、台湾、香港とマカオを除く国と地域としている。今回の外国人就労パス保持者を対象にした入国規制では、建設・造船・石油化学プラント分野の就労パス保持者と外国人家庭内労働者(メイド)について事前に入国許可を得ている者については、一部を除き入国が認められる。その他の就労パス保持者で、7月5日以前の入国申請が認められていた者については、入国が認められない。詳細については、人材省のホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

シンガポール・ビジネス連盟、就労パス保持者の入国規制の早期解除を要望

シンガポールの経団連に相当するシンガポール・ビジネス連盟(SBF)は5月10日付の声明で、多くの企業が人材不足に直面しているとして、新型コロナウイルスの感染状況が改善され次第、外国人の就労パス保持者への入国規制の早期解除を政府に求めた。またSBFは、当面の措置として、就労パス保持者の入国規制の対象とならない「低リスク国・地域」のリスト拡大を望むと述べた。ラム・イーヨン会頭は声明で、「新型コロナウイルスの感染者が入国するリスクを低下させる措置の必要を全面的に理解するものの、国境を閉じて全ての外国人の入国を完全に停止するわけにはいかない」と強調した。

人材省によると、同国の外国人労働者は2020年12月末時点で123万1,500人で、前年比13.7%減少した(添付資料表参照)。このうち、幹部・専門職向けの「エンプロイメント・パス(EP)」保持者は8.6%減、中熟練向けの「Sパス」保持者も13.0%減、低熟練向け「ワーク・パミット(WP)」保持者も15.1%減と、新型コロナウイルスに伴う景気悪化と入国規制などにより、外国人労働者が大きく減少している。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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