ASEANオーストラリア・ニュージーランドFTAが改定交渉へ、チリが参加に関心

(タイ、ASEAN、オーストラリア、チリ)

バンコク発

2021年05月18日

タイ商務省貿易交渉局(DTN)は5月12日、ASEANとオーストラリア、ニュージーランドとの間で4月に開催されたASEANオーストラリア・ニュージーランド自由貿易地域(AANZFTA)合同委員会の第12回会合の結果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。会合では、新型コロナウイルス感染拡大後の貿易・投資活性化を期待し、発効から10年以上が経ったAANZFTAをアップグレードすることで合意した。改定交渉は2022年内に終了する予定だという。

DTNのオラモン局長によると、近年の変化する貿易環境に対応するため、非関税措置(NTM)や原産地規則、自己証明制度、税関手続き・貿易円滑化、サービス貿易・投資(電子商取引、電気通信サービス、金融サービス)、政府調達、貿易競争、消費者保護、持続可能な貿易と開発などの検討課題があり、アップグレードすることとなった。

会合では、2021年で終了予定となっているオーストラリアとニュージーランドによる経済協力プロジェクトを通じた財政支援の延長についても話し合われた。オーストラリアとニュージーランドは2020年、AANZFTAに基づく締約国の能力強化(キャパシティービルディング)のため、4,500万オーストラリア・ドル(約38億2,500万円、豪ドル、1豪ドル=約85円)を割り当てている。

また、チリがAANZFTAへの参加に関心を持っていることも議題に上った。しかし、AANZFTAには新規加盟国の加入に関する規定がないため、加盟国で後日協議することとなった。

AANZFTAは、ASEANと大洋州の貿易・投資で重要な役割を果たしている。ASEANとオーストラリア、ニュージーランド間の貿易額は、2009年の494億ドルから2019年には734億ドルに拡大した。オーストラリアとニュージーランドは、ASEANから輸出される全ての物品の輸入関税を既に撤廃している。タイでは、両国からの輸出品について98%の輸入関税を撤廃した。

2021年1~3月のタイのオーストラリアとニュージーランドへの輸出額は34億3,275万ドルで、前年同期比21.6%増となった。主な輸出品目は5トントラックや排気量1500~2500ccの乗用車、マグロの加工品、エアコン、アルミ板、ポリエチレンなどだった。

(シリンポーン・パックピンペット、北見創)

(タイ、ASEAN、オーストラリア、チリ)

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