東北3省、第1四半期の成長率が全面的に回復へ

(中国)

大連発

2021年05月12日

中国東北部の遼寧省、吉林省、黒龍江省はそれぞれ4月25日、26日、28日に2021年第1四半期(1~3月)の域内総生産(GRP)を発表した。遼寧省が前年同期比12.9%増の5,844億9,000万元(約9兆3,518億円、1元=約16円)、吉林省が14.9%増の2,771億4,600万元、黒龍江省が12.4%増の2,692億5,000万元となった(添付資料表1参照)。3省とも中国全体の増加率18.3%を下回ったが、前年度のマイナス成長から2桁増に転じた。

一方、統計局では、新型コロナウイルス感染症拡大前の2019年第1四半期から2021年第1四半期までの2年間の増減率を年平均増減率に換算して掲載している。それをみると、東北3省のGRPは遼寧省2.1%増、吉林省3.6%増、黒龍江省1.5%増となり、いずれも中国全体(5.0%増)を下回った(添付資料表2参照)。

一定規模以上の企業(注)の工業付加価値額の前年同期比を産業別にみると、遼寧省では、石油化学工業(3.8%増)を除き、設備製造業(44.3%増)、農産品加工業(12.5%増)、冶金工業(10.3%増)などの各重点産業が2桁増となった。吉林省では、設備製造業が減少(2.4%減)した一方、自動車製造業(54.4%増)医薬産業(35.3%増)、石油化学産業(21.6%増)、食品産業(15.0%増)の各重点産業がいずれも好調だった。黒龍江省では、自動車製造業(90.5%増)、汎用設備製造業(35.8%増)、農業副産品・食品加工業(33.1%増)、石油石炭およびその他の燃料加工業(28.6%増)が大幅増となった。

貿易についてみると、遼寧省では、国有企業の輸出入額の前年同期比が18.9%減だったのに対し、外資企業と民間企業はそれぞれ16.2%増、9.4%増となった。黒龍江省では、機電製品とハイテク製品の輸出額がそれぞれ43.2%増と29.4%増となった。

第1四半期の経済動向について、東北3省の各政府は「安定的に回復しつつ、好転に向かっている」(遼寧省)、「回復基調にあり、成長に勢いがある」(吉林省)、「安定的に回復しつつ、上向いている」(黒龍江省)と評価した。

(注)当該年の主な業務の売上高が2,000万元以上の工業企業。

(李穎)

(中国)

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