ポーランド連立与党が「新型コロナ禍」からの経済回復計画を発表

(ポーランド)

ワルシャワ発

2021年05月31日

ポーランド連立与党は5月15日、社会経済プログラム「ポーランドディール政策(Polski Ład)」を発表した。このプログラムは「新型コロナウイルス禍」からの経済回復を目的としており、2030年までに総額6,516億ズロチ(約19兆5,480億円、1ズロチ=約30円)の支出が予定されている。

同プログラムにおける経済回復計画は、多数の取り組みから成り立っており、産業政策や輸出政策をはじめ、行政手続きの簡素化、労働市場制度の改革、建設手続きのデジタル化などが対象となっている。また、企業を取り巻く事業環境の改善を目的に、中小企業を対象とした開発促進支援、IPO(新規株式公開)支援、革新的事業への優遇措置などが導入される予定だ。大企業向けには、会計手続きの簡素化、財務省管轄下に置かれる投資家専用の税務サービスセンターの開始などが計画されている。

新型コロナウイルス感染症のパンデミック中にポーランド経済の原動力だった輸出については、ポーランド企業(特に中小企業)の海外展開支援、EU加盟国との経済関係の一層の強化、EU加盟国以外への輸出拡大、ハイテク製品の輸出拡大などが計画されている。

労働市場の改善としては、パートタイム労働を促進する規制導入、男女間の賃金格差への対策などが提案されている。また、リモートワークに関する規制を労働法に導入することで、パンデミック後もリモートワークを続けることを可能とする。

復興計画(2021年5月17日記事参照)に既に盛り込まれているプロジェクトや、2020年に発表された計画(ロボット購入補助金など)も含まれている。

また、社会政策についても以下の目標を立てている。

  1. 健康保険への支出を2027年までにGDP比7%にすること。
  2. 所得空除額を最大3万ズロチにすることによって、納税義務免除対象者を増やすこと。
  3. 公共投資などによって、50万人の新規雇用を創出すること。
  4. 住宅ローンシステムの変更などによって、持ち家率を上昇させること。
  5. 非課税の年金額を2,500ズロチまで上げること。

上記の目標に関わる法令は、2021年9月までに閣僚会議で採択される予定だ。

(マルティナ・ガベウ)

(ポーランド)

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