エストニア政府、段階的な行動制限緩和を発表、デジタルワクチンパスポートも開始

(エストニア)

ワルシャワ発

2021年05月14日

エストニア政府は5月11日、新型コロナウイルス感染拡大防止のための行動制限を段階的に緩和する方針を発表した。エストニアでは3月11日から、飲食店はテークアウトのみの営業、映画館や美術館などの施設閉鎖、生活必需品以外の小売店の閉鎖など経済活動や行動の制限が課せられ、学校などの教育機関もリモート学習に切り替えられている。今回の行動制限の緩和は、5月17日と24日の2段階に分けて行われる。

〇5月17日からの制限緩和

  • 小学校4年生まで許可されていた登校を、高校も含め全学年で再開。
  • スポーツやトレーニングなどは、屋外に限り1グループ最大25人までで再開。
  • 公共のイベントや博物館などは、屋外に限り最大25人までで再開。

〇5月24日からの制限緩和

  • 屋内でのイベントや博物館などは、収容人数の半分(最大200人)までで再開。
  • レストランなどの飲食店での屋内での飲食は、1テーブルにつき6人まで、収容人数の半分までで再開。営業時間は午後10時まで。

進むワクチン接種、デジタルワクチン証明書も導入開始

エストニア健康局の発表によると、エストニアでは5月13日までにワクチン接種を少なくとも1回受けた人の数は38万5,293人で、全人口の29.0%、成人の35.9%に相当する。また、ワクチン接種が受けられる対象年齢が17日からは16歳以上になる予定で、今後、ワクチン接種がさらに進むことが見込まれている。

ワクチンを接種した人については、4月30日から「患者ポータルサイト」(注1)上でデジタルワクチン証明書が発行され、国内の医療機関や入国管理局などと「Xロード」(注2)を介して、データのやりとりが可能になる。このデジタルワクチン証明書のプラットフォーム「ワクチンガード(VaccineGuard)」は、エストニアの電子行政インフラ基盤の開発にも携わったIT企業のガードタイム(Guardtime)が開発したもので、開発に際してはエストニア政府だけでなく、ハンガリー政府、アイスランド政府と世界保健機関(WHO)とも連携している。

(注1)医療・健康データや処方箋データを閲覧できるポータルサイトで、本人や家族、医療関係者が閲覧できる。

(注2)行政機関、医療機関や民間企業などに分散されたデータを連携させる情報連携プラットフォームで、安全性が高い。Xロードは、エストニアのIT企業サイバーネティカ(Cybernetica)が中心となって開発した。

(吉戸翼)

(エストニア)

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