動物性食品の代替品の生産と購入が増加傾向、重要視される動物福祉

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2021年05月31日

ドイツ連邦食糧・農業省(BMEL)は5月19日、「ドイツの食」と題する年次アンケート結果(1,001人が回答、1月14日~2月12日に実施)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。そこでは、動物性食品に対する意見や同食品の摂食の変化がみられた。

動物性食品では、88%が動物の生育に関する情報が「(非常に)重要」と回答し、購入の際に動物の生育における良い基準を表す「動物福祉ラベル」(注1)を重視する回答者は、2015年の36%から2021年の55%へと19ポイント上昇した。また、回答者の86%は、既存の法律基準よりも高い水準の生育条件を確保する内容での公的な動物福祉ラベル導入を、国が行うよう希望している。さらに、ビーガン(絶対菜食主義)食生活を送る回答者およびベジタリアン(菜食主義)食生活を送る回答者の割合が、2020年から2021年にかけて増加。ビーガンは回答者の1%から2%に、ベジタリアンは5%から10%に増えている。この割合は、どちらも14~29歳の回答者において最も高かった。このほか、毎日、肉やソーセージを食べる人の割合は2015年から8ポイント減少し、26%だった。動物性食品の代替品を毎日1回以上食べる人の割合は、2020年の5%から2021年に8%に増加した。特に14~29歳における割合が最も高く、17%だった。ベジタリアン・ビーガンの動物性食品の代替品を買った理由(複数回答可)としては、71%が「好奇心のため」、59%が「動物福祉のため」、54%が「気候・環境に良いため」を挙げた。

ベジタリアン・ビーガン食品の生産が著しい伸びに

連邦統計局は5月14日、2020年に代替肉の生産量が前年比で39%弱増加し、8万3,700トンだったと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。金額ベースでは、37%増の3億7,490万ユーロだった。一方、肉および肉製品の生産額は約386億ユーロと代替肉の100倍以上だったが、前年比では4%減少した。減少の理由としては、短期的には一部の食肉工場が新型コロナウイルス感染拡大の影響で、一時的に営業を停止せざるを得なかったためだとしている。また、長期的にみても、肉の消費量は明らかに減少傾向にある。1978年時点で、ソーセージ製品や薫製・乾燥肉、その他の保存・加工精肉の肉製品の消費量は、1世帯(注2)当たり6.7キロ強だったが、2018年には約2.3キロへと大幅に減少した。

(注1)動物福祉とは、人間が動物に対して与える痛みやストレスなどの苦痛を最小限に抑えるなどの活動により、動物の心理学的幸福を実現する考え方。動物福祉ラベルは、動物福祉の考え方に沿った方法で育成された動物による動物性食品であることを示す。現在ドイツでは、国による公的な動物福祉ラベル制度は計画段階のため導入されていないが、複数の業界団体が独自に動物福祉ラベルの認証を行っている。

(注2)1世帯の人数は、1978年の2.5人から2018年に2人に減少している。

(ベアナデット・マイヤー、田中俊)

(ドイツ)

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