ASEAN、経済統合に関する中間報告を発表
(ASEAN)
ジャカルタ発
2021年05月20日
ASEAN事務局は4月28日、「ASEAN経済共同体(AEC)ブループリント2025」(注1)における、2016年から2020年までの進捗状況をまとめた中間報告書(MTR)を発表した。
「AECブループリント2025」は以下A~Eの5つの柱から構成され、それぞれの目標達成に向け計1,686の措置が設定されている。同報告書によると、進捗は以下のとおり。
全体:達成率54.1%
A.「統合され、高度に結束した経済」(物品・サービス貿易、投資環境整備など)
達成率60.3%(必要措置数517)。
主要達成項目:フォームD(注2)の電子化やASEAN物品貿易協定(ATIGA)原産地自己証明制度の開始など。
B.「競争力があり、革新的でダイナミックなASEAN」(消費者・知的財産保護強化など)
達成率47.8%(必要措置数274)。
主要達成項目:「消費者保護に関するASEANハイレベル原則」や「ASEAN GRP(良き規制慣行)ガイドライン
」策定など。
C.「強化された連結性と分野別協力」(電子商取引やヘルスケアなど)
達成率52.0%(必要措置数731)。
主要達成項目:ASEAN電子商取引協定への署名、「ASEANデジタル統合フレームワークに関するアクションプラン
」策定など。
D.「強靭(きょうじん)で包摂的、人本位で人が中心にあるASEAN」(中小零細企業支援、官民連携促進など)
達成率43.5%(必要措置数131)。主要達成項目は「ASEAN SMEアカデミー」の創立など。
E.「グローバルなASEAN」(FTAの見直し、多国間貿易システムへのサポートなど)
達成率54.5%(必要措置数33)。主要達成項目はRCEP署名、「日ASEAN経済強靱化アクションプラン」の採択など。
一方で、産業界は措置のさらなる実行を求めている。5月19日に、ASEAN事務局、ASEAN各国の経済担当閣僚および産業界との間で開催されたAECダイアログにおいて、産業界は「2020年にASEAN各国が実行している非関税措置(NTM)を合計すると9,000以上になる」と指摘した上で、「NTMの中でも、数量制限や価格管理措置を優先して対応してほしい」と要望した。
(注1)ASEANは2015 年、2025年を目標年次とするASEAN経済共同体2025(AEC2025)の創設を目指すとした。AECブループリント2025は、AEC2025実現のためのマスタープラン。概要はジェトロウェブサイト(170KB)参照。
(注2)ATIGAにおける原産地証明書を指す。
(上野渉)
(ASEAN)
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